観て聴いて読んで書く

マンガ、アニメ、ゲームなど好きだと思ったものについて無節操に書き綴ります

同人誌と新型コロナウィルスについて語りたい

皆さんは同人誌というと、どんなイメージをお持ちでしょうか。今回は同人誌と、今世界的に流行している新型コロナウィルスについて語りたいと思います。

 

同人誌ってどんなもの?

私は趣味でイラストを描いたり小説を書いたりしてまして、弱小サークルとしてではありますが、二次創作の同人誌即売会のイベントに参加したりもしています。マンガやアニメ作品から自分の頭の中に湧き起こった「ifの世界」つまりは妄想を、漫画やイラスト、小説などで表現し、それを自費で本の形にまとめてイベントで頒布しているのです。

一般的に「同人誌」というと、この2次創作を思い浮かべるのではないかなと思います。あくまでも二次創作は原作に対する「好き」という感情の発露だという原則がありますが、「好き」の形は千差万別。人それぞれに思い描くものは違います。それがとても楽しい世界です。

原作から発想を得た自分の妄想を、2次創作の同人誌にして頒布するなんて、恥ずかしくないの?という方もいらっしゃると思います。

二次創作というものはその作品のどこが好きか、どう好きなのか、プレゼンしているようなものかなと思っています。他の方に自分の同人誌を手に取っていただけたということで、自分の作品に対する思いに共感してくれる人がいるのだと心強くなりますし、同じ作品を好きな方たちと出会えるというのはシンプルにうれしいものです。そして自分の絵や小説で、誰かが楽しんでくれるという体験ができるなんて、幸せなことだなと感じます。

でもこれは、二次創作に限ったことではありません。

「電車が好き」
「廃墟が好き」
「洋楽が好き」
「旅行が好き」
「メイクが好き」
「着物が好き」

誰しも好きだと思うことは一つくらいあると思います。その好きなものを絵に描いたり、写真を撮ったり文章にしたり、そうして本にまとめてしまえば、それは立派な同人誌です。

そんな自分の好きを形にした同人誌を誰かが手にしてくれる。それは自分の「好き」が誰かに伝わったということであり、同人誌を通じて同じものを「好き」だと思っている仲間に直に出会い交流することができる機会が、同人誌即売会というイベントなのです。

 

イベントは中止になったけれど

しかし2020年4月の今、新型コロナウィルスの世界的な流行によって、外出の自粛が呼びかけられ、学校は休校が続いて子供たちは気軽に遊ぶこともできない状態になっています。

ライブや演劇などの様々なイベントも中止に追い込まれています。開催予定だったいくつもの同人誌即売会も、また同様に中止に追い込まれています。私に参加する予定だったイベントも開催中止となりました。

参加する予定のイベントが無くなった。だからやる気がなくなってしまった。
絵はTwitterとかインスタとかSNSで上げればいいし、小説だって投稿サイトはあるし……。

たしかに今はインターネット上で作品を公開する手段がいくつもあります。でも、私はそうして同人誌を作るのをやめてしまわないで欲しいなと思うのです。

私は出版とか印刷とか、そこらへんの片隅で働いています。執筆者や編集者にはならなかったけれど、本が好きで本を作る仕事がしたいと思って、この職に就きました。

実際に本屋に並ぶ本を作る側の人間になって感じたことは、自分が関わった本が本屋に並んで誰かが買ってくれるといううれしさです。自分が制作に関わった本が平積みされていたりするのを目の当たりにすると、思わずきれいに並べ直したくなるほどです。どなたか買ってくださる方が現れるのを売り場で見届けたくもなります。そして重版が出ると、頑張った甲斐があったなぁなどと思ったりするのです。

でも書籍というものは、分業で出来上がるものです。私が携わるのはほんの一部分。最初の企画に加わったり、お客様の手に本をお渡ししたりすることって私の業務ではできないんです。

でも同人誌は違います。一から十まで自分の手でできます。プロではなくても、自分で企画して内容を書いて、印刷して、直接本を手渡しすることができ、しかも手に取ってくださる方にお礼まで言えます。それって本当に凄いことで、私は初めて参加した同人誌即売会でその光景を目の当たりにして、心から感激してしまいました。

この新型コロナウィルスの流行で中止に追いやられ、会場で頒布することはできなくなってしまいました。でも何もしないでいるのは、イベントそのものが無かったことになりそうで悲しいなと思い、新刊の入稿をしてイベントの開催日に合わせる形で通販での委託をお願いすることにしました。そうすることで、イベントが中止となって今とても苦しい状況になっているであろう主催会社を後押し、イベントそのものを存続させることに繋がればいいなと思っています。

そして、この流行が収束して再びイベントが開催されたときには、必ずやまた新刊を携えて参加したいと思っています。

 

ということで、ここから追記(4/27)となります。

赤ブーブー通信社さま主催のエアー即売会イベント「エアブー」の第一弾が4/19〜4/25に開催されましたね。私自身も5/5〜5/11の期間に行われる「エアブー」第二弾に登録しました。6/7〜6/13に第三弾が行われるので、そちらは今検討中です。

「エアブー」というのは正しくはイベントではなく「サークル通販情報ポータルサイト」となります。エアブーのサイトを介して「とらのあな」「フロマージュ」「BOOTH」他、同人誌の通販情報を一覧できるようになっています。

サークルとしては、参加登録を行うことやエアプチオンリーを企画されている方もいますし、マシュマロでメッセージを送ったり、差し入れもできるような工夫をされていて、ちょっとしたイベント気分を味わうことができています。ただ、その期間中であっても通販が動くだけなので、リアルなイベントのように会場に行って味わう高揚感はありません。

でも、会場に行くことができなくてサークル活動を躊躇していた方も、これなら参加してみようかなと同人誌を作るきっかけになるのではないでしょうか。イベントには参加しないけれど同人誌を頒布したい方はいらっしゃると思うので、これはこれで登録参加費を取る形のエアイベントとしてリアルのイベントと並行して継続すると、サークルの参加方法の選択肢を増えて面白いかもしれないぞと思っています。

 

前回は市梨きみ先生の商業BL作品『さよならアルファ』について語っています。興味を持っていただけた方は、こちらからどうぞ。

isanamaru.hatenablog.com