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『ファイアーエムブレム 風花雪月』について語りたい【6】青獅子の生徒たち

「ファイアーエムブレム」シリーズ中の名作『ファイアーエムブレム 風花雪月』。今回はディミトリ率いる青獅子の学級の生徒たちについて、彼らの人となりを私個人の思い入れを込めてガッツリと語っていきたいと思います。

 

青獅子の学級はみんな仲良し

ディミトリ率いる青獅子の学級は、ファーガス神聖王国出身者の学級です。見るからに折り目正しく品行方正な印象の級長のディミトリ。彼は未来の国王であり、他の生徒たちはその臣下となります。シルヴァン、フェリクス、イングリットの3人は彼の幼なじみではありますが、臣下としての身分を弁えており馴れ馴れしくなりすぎない距離を保っています。

ディミトリは優等生ですが、それと同時にどこか脆さを感じさせるところがありって放っておけないタイプなんですよね。青獅子の生徒たちからは、彼に対する優しい気遣いが感じられます。

幼なじみや友人同士が多いからか、級長のディミトリを中心にかなりまとまりが良い印象。一人ひとり見ていくとそうでもないんですが、学級全体として見ると、黒鷲や金鹿に比べて真面目でお行儀が良くおとなしめな感じがします。

 

青獅子の学級の生徒はこんな子たち

ディミトリ=アレクサンドル=ブレーダッド(声:石川界人)

ディミトリはフォドラ北部に位置するファーガス神聖王国の第一王子。容姿端麗、文武に長け、誠実で皆に優しく礼儀正しいという、眩しいくらいによく出来た少年です。ロードの衣装が本当に似合い、槍や剣で戦う姿は実に美しく、まさに王子様! しかも声は石川界人さんとくれば、もう完璧じゃないですか! かなりの怪力の持ち主で、9歳にして剣をへし折るなどという逸話があるなど、ギャップがまた良い!

本編の4年前、国王夫妻をはじめ多くの命が奪われた「ダスカーの悲劇」と呼ばれる襲撃事件にディミトリ自身も巻き込まれ、重傷を負いながらひとり生き残りました。傷が癒えても、そのことが彼の心に暗い影を落とし続けています。頭痛や悪夢に苛まれている様子がうかがえます。

繊細な表情を見せるディミトリ

ディミトリは繊細な青年なんです

戦争編となる5年後のディミトリは、髪は伸びっぱなしでボサボサ、右眼を失い隻眼となっているなど、驚くほどの変貌を遂げています。士官学校にいた第1部の途中から言動にどこか違和感が漂うようになり、従者のドゥドゥーも戸惑っている様子が伺えましたが、爽やかな好青年だった面影など消え失せ荒みきったその姿は、非常に衝撃的です。彼が美しいが故に、異様なほどの凄みが漂います。

ちなみに私は第1部より5年後のビジュアルの方が断然好きですね〜。長身を黒い鎧に身を包み、青いマントをはためかせて容赦無く敵をなぎ倒していくディミトリの姿、ゾクゾクします。

それまでのディミトリは、王子として正しく強くあろうと、激しく波立つ心を必死に抑え込み続けていたのではないかと思います。しかし襲いかかる数々の悲劇によってそのタガが外され、彼は誰からの言葉も届かないほどに心を閉ざし、昏い妄執に囚われることになってしまいます。その姿はあまりに痛々しく、なぜこれほどまでに理不尽なほどにディミトリを苦しめることばかり起こるのだろうかと、こちらが悲しくなってくるほど。彼は何も悪いことなんてしてないのに…。

戦争編となる第2部は、ただただ彼の心を救いたいと願いながらプレイをしていました。

 

ドゥドゥー=モリナロ(声:高橋英則)

ディミトリの寡黙な従者ドゥドゥー。2mを超える大柄な体に強面という彼には、花を愛し料理も得意という一面もあります。

彼は王国北西のダスカー地方出身。国王謀殺事件である「ダスカーの悲劇」の首謀者とされるダスカー人は、その事件の報復として王国軍による虐殺を受けることになりました。その際に自分の命を救ってくれたディミトリに、彼は強く忠誠を誓っています。ひたすらにディミトリを案じ、自分の命も惜しまず身を挺して彼を守り抜こうとするドゥドゥーの姿は、胸が熱くなるものを感じます。

ドゥドゥーはあまり人を寄せつけず、会話も言葉少ないままなのですが、それはダスカー人である自分と親しくし話などしているとあらぬ誤解を受けて非難されてしまうからと、相手のことを配慮するが故の態度。どこまでも彼は心優しい人です。

 

シルヴァン=ジョゼ=ゴーティエ(声:古川慎)

裏も表もある男。シルヴァンのことは、みんな大好きじゃないでしょうか。もちろん私は大好きです。

端正な容姿で頭脳も明晰な頼れる兄貴分ですが、ディミトリからも言及されてしまうほどの女好きで、女性を見るとすぐに口説きにいきます。なので女主人公の場合は、無条件にしかも食い気味に彼の方からスカウトされにきます。個人スキル「女好き」ですからね。さすがです。

私は女主人公でプレイしているため、どのルートでも必ず序盤からシルヴァンが味方についてくれている状態になり、彼は誰よりも共に過ごしている時間が長いキャラクターです。毎度とても頼りにしてます。

ゴーティエ家は北方のスレン民族から王国を守る砦として、英雄の遺産を扱える紋章を持っている者であることを非常に重視しているという事情があります。それを重々シルヴァンも承知してはいますが、紋章を持つが故に次男でありながら望んだわけでもないのに嫡子とされ、そのため兄のマイクランから恨まれ虐められ下心を持つ女性たちには色目を使われてと、かなりままならない思いをしています。彼の女漁りには、「どうせどの女性もゴーティエ家の血や紋章が目当てで、自分という人間を愛してくれはしないんだろ」と確認し傷つくためにわざわざ地雷を踏みに行くような、自傷行為にも近いものを感じます。

紋章に振り回されているシルヴァンは、炎の紋章を持ちながらも傭兵として紋章とは無縁なまま自由に生きてきた主人公に対して、とても複雑な思いを吐露します。その言葉はかなり衝撃で、胸がキュッと痛くなってしまいました。

軽薄で女好きの凡庸な大貴族の息子を演じることで、自分の心の中の闇を覆い隠そうとしているシルヴァンを、古川慎さんが繊細に丁寧に演じてくださっています。

 

フェリクス=ユーゴ=フラルダリウス(声:帆世雄一)

王国貴族の筆頭格であるフラルダリウス家の嫡子であるフェリクス。兄のグレンを「ダスカーの悲劇」で亡くしたことをきっかけに、父親とは折り合いが悪くなってしまっています。

ひたむきに自分が強くなることを目指し、求道者のように剣の腕を磨き続ける彼は、長い黒髪に切れ長の目という容姿とも相まって、騎士というよりも孤高の剣士といった雰囲気。主人公のことも、先生というよりは手強い手合わせの相手と思っている節があります。

細身でかなりの美人さん。フェリクスの5年後のコスチューム、私大好きなんですよね。機能的でありながら、色気を感じるというか。彼は美脚ですし。

愛想が無く、主人公や級友たちに対していつもトゲのある物言いをするフェリクスですが、「色情魔」とはさすがに言い過ぎだったとシルヴァンに謝ったり、ディミトリを「猪」と呼びつつも彼の変貌ぶりに心を痛めていたりと、まさに「ツンデレが服を着て剣を振るっている」みたいな存在。本人は絶対認めたくないでしょうが、かなりの愛されキャラです。

女の子たちがこっそり歌を歌っていたりお菓子を食べているところに、彼は何故かよく遭遇しています。

 

アッシュ=デュラン(声:井上雄貴)

そばかすが印象的なアッシュくん。士官学校の制服にフードの付いたインナー、ハーフ丈のパンツ、ロングブーツと、服装の全てがとにかく可愛いです! 第2部でのコスチュームもとても良いです! しかも、好きなものに「子どもの相手」、嫌いなものに「お化け」‼︎ どこまでも悔しいくらいキュンキュンさせてきます! しかも弓使い! もちろんお気に入りです!

平民の出身の彼は、両親を亡くし貧しさから弟妹のために盗みを働いていたことも。そのため個人スキルで鍵が無くても扉や宝箱を開けられます。ロナート卿の養子になったのも、居館で本を盗もうとしたところを見つかったことがきっかけ。自分だけでなく弟妹も共に屋敷に迎え入れて世話をし勉強も教えてくれたロナート卿を、心から慕っています。

正義とは何か、自分にできることは何かととても真剣に考え、立派な騎士となるために研鑽を積む、とても心根が優しく真面目な子です。

しかし悲しいことに、スカウトして仲間にしていてもルートによっては第2部で敵として現れます。でもこれはアッシュが望んでの出撃ではないというドラマチックな展開。彼を助命して仲間にすることはできるのですが、私は最初にプレイした時にそのことを知らずに戦ってしまったためアッシュを助けてあげることが出来ず、ガチ泣きしました。皆さんはぜひ彼を救ってあげてください。

 

イングリット=ブランドル=ガラテア(声:石見舞菜香)

だらしない男子は放っておけず、つい小言を言ってしまう、しっかり者のお姉さんタイプのイングリット。シルヴァンとフェリクスとは幼馴染み。生真面目な彼女にかかると、彼らは2人ともただの問題児扱いです。

許嫁だったフェリクスの兄グレンを「ダスカーの悲劇」で亡くしています。グレンは非常に有能で人格も優れた人物だったようで、イングリットは彼のような立派な騎士として生きようと強く心に決めています。その言動からは、青獅子の生徒の中で一番騎士然とした凛々しさを感じさせます。

そんなイングリットですが、食べることが大好き。それもスイーツなどではなく、串焼きなどガッツリしたものを好んで食べています。いつもお堅くて近付き難くもある彼女が、食べ物を目の前にするといきなり可愛らしくなるんです。よく食べる女性っていいですよね。

 

アネット=ファンティーヌ=ドミニク(声:田中貴子)

朗らかな頑張り屋さん。「ダスカーの悲劇」の後に行方不明となった父親を探しています。王都の魔道学院を優秀な成績で卒業し、大修道院の士官学校の推薦を獲得したのも、敬虔なセイロス教信徒である父親との繋がりを辿るためだったりします。

何事にも一生懸命になる真面目な性格で、支援会話では勉強をしていたり花の世話をしていたりといった場面が多く見られます。エライ‼︎ しかし彼女は同時にかなりのドジっ子でもあり、厨房ではお皿を割ってしまったり、彼女が向かった先でガラガラと何か壊してしまった音が聞こえてくることも。

歌うことが好きで、作業中に気持ちが乗ってくると自作の歌を歌っているのですが、その歌詞が面白いんですよね。彼女の歌は一度聞いたら虜になります。彼女の可愛らしさが爆発しています。

 

メルセデス=フォン=マルトリッツ(声:花守ゆみり)

おっとりとした口調で話すメルセデス。士官学校の時点で主人公より歳が上だということもあってか、皆を包み込んでくれるような温かな包容力のある女性です。

元は帝国貴族の令嬢だったメルセデス。しかし家が取り潰しの憂き目に遭い、母親はバルテス男爵と再婚しましたが、再婚相手の目的は紋章のみ。紋章持ちの弟が生まれたもののメルセデスは母と共に出奔して王国の教会に身を寄せることに。現在は王都の商人に引き取られて養女となっています。しかしもう無くなってしまった実父の家名であるマルトリッツを名乗っていることからも、彼女は現在の義父ともうまくはいっていない様子が伺えます。かなり複雑な生い立ちですよね。生き別れた弟エミールの面影がある人物を士官学校で見つけ、とても気にしています。

辛い過去にもかかわらずふわふわとした柔らかい雰囲気でありますが、彼女が自らの決意を主人公に語る支援会話では、しっかりと芯を持った強い女性であることを感じられます。

 

青獅子の人間関係

ファーガス神聖王国は北方に位置し、他の民族の脅威や寒冷な気候であまり土地が豊かではありません。そのため帝国よりも紋章に対するこだわりがかなり強い印象。ドゥドゥーとアッシュ以外は全員が「フォドラ十傑」の紋章を持つ「英雄の遺産」の使い手なのですが、紋章の存在に振り回されて非常に苦しい思いをしています。

また、親子関係に難ありの生徒が多いのもこの学級。生徒たちの様子は穏やかなのですが、それぞれが問題を抱えているため、黒鷲や金鹿と比べると全体的にシリアスな雰囲気で物語が進みます

「ダスカーの悲劇」によって国王が謀殺されてしまいましたが、王子のディミトリがまだ若すぎるということで今は空位となっており、王国内の治安は不安定。真面目すぎるディミトリは、一刻も早く立派な国王とならなければと必要以上に気を張っているところが見られ、自分自身を縛っている感じがします。

フェリクスの父のロドリグ、アネットの父のギュスラヴら周囲の大人たちもそんなディミトリを深く案じていて、王子として敬愛されながら、同時に彼が人として皆から愛されているのを感じます

 

印象深い支援会話

私が級友同士で特に印象に感じた組み合わせは、ディミトリとメルセデス、そしてシルヴァンとフェリクスの2組です。

 

ディミトリとメルセデス

剣術の試験を受けようとしているメルセデスを心配したディミトリが心配して剣を教えようとします。もともとあまり体を動かすのが得意ではない様子のメルセデス。案の定手が滑って剣が飛び、危うく未来の国王陛下を殺しかけることに。しかし、自分も剣を持ち始めた頃はこんな感じだったと言ってディミトリは気に留めず、剣の訓練を続けます。

メルセデスの剣術の試験の結果がどうなったかはわかりませんが、その後に今度はディミトリがメルセデスに教えを請うことに。しかし武術の類ではなく、何と裁縫の手ほどき。なぜ⁉︎

王子様がチクチクとお裁縫をしているなんて、それだけで絵面として面白いのですが、そこにディミトリの怪力が加わり、針を折りハサミを曲げるなど、まともな作業ができない様子。諦めるなんて自分らしくないと小さな針を手に悪戦苦闘しているディミトリの様子がかなり可愛いです。

 

シルヴァンとフェリクス

幼なじみの2人ですが、女性に目がなくチャラチャラ遊んでいるシルヴァンと、剣の腕を磨き強くなることだけを考えているフェリクスと、全くタイプが正反対。

そんな2人のやりとりは、女の子の話ばかりするシルヴァンにフェリクスが怒り出てしまうというのがテンプレ。相手のことを誰よりもよく理解しているからこそ、悪ノリをしてからかってみたり、ついキツい口調で悪態を吐いたり。でもそれで仲違いするわけでもなく、腐れ縁と言いながら、ずっとこうして一緒に過ごしてきたんだなぁ〜という「こなれ感」がすごいです。

幼い頃に「死ぬときは一緒だ」と約束したという彼ら。主君のため戦場で命のやり取りをすることになる騎士だからこその約束ですね。絶対に戦場で自分は死んだりしない、絶対に相手を死なせはしないという、彼らの深い結びつきを感じます。

 

次回はクロード率いる金鹿の学級の生徒たちについて、思い入れたっぷりに語りたいと思います。

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