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『ファイアーエムブレム 風花雪月』について語りたい【8】灰狼の学級・セイロス聖教会・騎士団

「ファイアーエムブレム」シリーズ中の名作である『ファイアーエムブレム 風花雪月』。今回は灰狼の学級の生徒たちセイロス聖教会・騎士団の人々について、彼らの人となりを私個人の思い入れを込めて語っていきたいと思います。

 

灰狼はみんな訳あり

ユーリス率いる灰狼の学級。セイロス教団の高位修道士であるアルファルドによって設立され、レアにより学級名を与えられました。学級と名付けられてはいますが、大聖堂の地下にある街アビスの自警団のような存在です。

所属している生徒たちは皆いろいろ訳ありのクセ者揃いで、それぞれが地上で暮らしにくい事情を持っています。そのため、彼ら灰狼の学級の生徒たちの制服には鎖のモチーフが入っています。

 

灰狼の学級の生徒はこんな子たち

ユーリス=ルクレール(声:榎木淳弥)

灰狼の学級を率いているリーダー格。かつては青獅子の学級の生徒として学んでいましたが、ある騒動を起こして除籍となってしまいました。

かなりの美貌の持ち主で、女主人公がアビスに行くと住人から「ユーリスの方が美人だ」と言われてしまうほど。女性以上に美しい容姿を持つユーリスですが、その内面は義理人情に篤くかなり男前な性格です。そのお声は榎木淳弥さん。ちょっと不遜な態度ながら心根の優しいユーリスを、とても素敵に演じてくださっています。

主人公と会話するユーリス

顔が良い自覚もあるでしょうが、この言葉、意外と自虐的だったりもします

貧民街の娼婦の子として生まれたユーリスは、貧しさから抜け出すため「好き者」の貴族たちに取り入り、最終的には王国貴族のローべ伯爵の養子にまでなっています。美しい顔も彼にとっては成り上がるための道具。「貴族の膝の上で媚びへつらっていた」などと、彼はマイルドな表現を使ってはいますが、貴族たちにどんなことをどこまでして(させて)いたの⁇ などと考えていくと、かなりヘビーな話になりますよね。ローべ伯爵も、養子というより愛人として彼をそばに置いていたりして……などと思ってしまいます。

彼は帝国貴族相手には帝国風の、王国貴族には王国風の名前を使って近づいており、ユーリスという名前も実は偽名。本当の名前は条件が合えば「主人公のみ」に明かされます。そういえばユーリスの他にも、本編の登場人物で名前を偽っている人物が何名かいますね。

幼い頃、流行病で多くの人が亡くなっていく中で命を取り留めたユーリスは、自分のすべきことは何かと考えたと言います。本編の級長さんたちのように彼が国を背負ってはいませんが、その胸の内には貧しさに苦しむ人々を救いたいという熱い思いを秘めているのです。

男性主人公と同性婚できる数少ない相手の1人。彼は相手の本質を見て愛することができる人なのだなと思います。

 

バルタザール=フォン=アダルブレヒト(声:木村昴)

バルタザールは登場時で26歳。士官学校の卒業生で、「生徒」の中では一番最年長です。何をやったのか賞金稼ぎに追われる身となっており、グロスタール家などから借金をして逃げ回った末にアビスに流れ着いた模様。ヒルダの兄であるホルストとは友人関係で、ヒルダからは「バル兄」と呼ばれています。自称「フォドラの格闘王」。まさに豪放磊落な人です。

彼の母親は山の民「クパーラ」の女性で、バルタザールの父親が一目惚れして妻に迎えました。しかしその出自を公にできないため他の女性を正妻に迎えられてしまい、バルタザールを残して故郷に戻ってしまいます。

そんなこともあり、士官学校を卒業後にバルタザールはアダルブレヒト家の当主となりましたが、すぐにその座を正妻の子である弟に譲っています。兄弟仲は悪くはないようで、バルタザールが家督を譲って家を出たのは弟を思ってのことと思われます。

実はまだ幼い頃に、クロードの母親ティアナに会ったことがあるバルタザール。美しい彼女が同盟から姿を消した時には、ヒルダの兄ホルストと共に泣いたという話も。自分の母親について「いい女だった」「初恋の相手だ」「会いたい」と熱く語られてクロードはドン引きしていますが、同じく異端の血を引いている者同士ということもあり、バルタザールの方ではクロードに対して親近感を抱いているようです。

 

ハピ(声:三澤紗千香)

気怠い喋り方のハピ。何事に対しても冷めていて距離を置くような物言いをしますが、実はとても優しい子。ユーリスを「ユリー」、エーデルガルトを「ガーティ」というように、仲間に愛称をつけて呼びます。

褐色の肌のハピは、ティモテの隠れ里の出身。外の世界を見たいと里を出た彼女は拐われた挙句に魔道の実験台にされ、ため息をつくと魔物を呼び寄せてしまう体質にされてしまいました。

セイロス騎士団に助け出されたのですが、その魔物を呼んでしまう体質のために地上で暮らすことが難しいとされ、ハピはアビスの地下に閉じ込められることに。そのため、彼女はセイロス教団もあまり信用してはいません。

敬虔なセイロス教徒が多い中、教団と距離をおいた冷静な目で主人公に忠告をしてくれる数少ない人間です。

 

コンスタンツェ=フォン=ヌーヴェル(声:ブリカットセーラ恵美)

元帝国貴族ヌーヴェル家の息女であるコンスタンツェ。没落し七貴族から外されてしまったヌーヴェル家の再興を目指しています。

言葉使いこそ丁寧ですが、高飛車である意味いかにも貴族らしい態度で接してきます。でもそれは貴族としてのプライドを頑張って守っているということなのかも。日々新しい魔法を生み出す研究をしていますが、その内容はとてもかわいいものばかりです。

彼女の特徴といえば二重人格。太陽の光が届かない地下の街であるアビスでは、強気な彼女ですが、明るい太陽の下では性格が一変。面白いくらいに卑下しまくる自虐的な性格になってしまいます。そのあまりにも振り幅の大きな豹変ぶりは、昔馴染みのメルセデスを戸惑わせるほど。コンスタンツェ自身もそのことには気付いており、太陽の下での自分を「もう1人の自分」と言っています。

 

セイロス聖教会や士官学校にいる人もなかなかに個性的

大司教レアをはじめ、生徒以外にも主人公に関わる人々はたくさん登場し、力になってくれます。

 

セイロス聖教会の人々

フォドラの人々が信仰しているセイロス教の総本山ガルク=マク大聖堂。セイロス騎士団はフォドラの地を混乱に陥れる存在を排除し、この地の安寧を保つ役割を担っています。

 

レア(声:井上喜久子)

セイロス聖教会の大司教レア。彼女により主人公は士官学校の教師に招かれ、この物語が始まります。運命に導かれたというよりも、レアによって手繰り寄せられたという感じです。

いつも優しい笑みをたたえるレアですが、教団に刃向かう者を躊躇なく粛清したり、傭兵上がりの若者でしかない主人公に補佐を務めるセテスが戸惑うほど目をかけてあげたり、なんだかちょっと極端な感じで、ただ穏やかな慈母のような人物ではないのは明らか。しかも主人公の父ジェラルトがセイロス騎士団の団長だった頃には、既に大司教の地位にいたんですよね。序盤、主人公が21歳だと仮定すると……あんまり考えてはいけない感じです。

どの学級のルートを選んだかでセイロス教との距離感が違うため、レアに対する見方も変わるのですが、全ルートをプレイしてみて、最終的に私の中では「レア様って信用できない上にめちゃくちゃ怖いな」という結論に。プレイする前と後では、かなり印象が変わる人だと思います。あるルートではレアと男主人公がペアエンドを迎えることもできますが、私はちょっと遠慮したいかなぁ…。

レアは神性や母性を前面に出しながら実は強い幼児性も併せ持っている、ある意味とても「人間くさい」感じがします。

 

セテス(声:子安武人)

セテスはセイロス聖教会の実質No.2。大司教であるレアの補佐役です。お声は子安武人さんFEの今作の「子安枠」です。

教団の補佐役としても私的にも、レアに対等にものを言うことができる人物。レアからも深く信頼されています。とはいえ、セテスは紋章に重きを置きすぎるフォドラのあり方を、あまり良くは思っていない様子。程よく冷静で印象が良いです。

年の離れた妹のフレンを溺愛しており、趣味は「フレンを見守ること」、好きなものは「フレン」、嫌いなものは「フレンに害をなすもの」と筋金入り。微笑ましいの範疇を若干超えてきています。

初めはどこの馬の骨かもわからないと主人公を警戒していたセテスですが、フレンの危機を救ったことから信頼を深めてくれ、あるルートでは補佐役として支えてくれます。生徒たちへ的確な助言をしたり、修道院の子供たちのために寓話を作ったり、年少者に対して実に優しく面倒見の良い人なんですよ。セテスがレアのやらかしたことに関わっていなくて、心底ホッとしました。

 

フレン(声:大野柚布子)

セテスのかなり年の離れた妹のフレン。彼女は生徒ではありませんが、セテス以外に身寄りがないため修道院に暮らしています。しかし嫌いなものに「セテスの過保護」「セテスの過干渉」と重ねて挙げており、セテス様、フレンちゃんに嫌われかけていますね。

世間に疎いお嬢さまといった雰囲気で、自分を「わたくし」と呼び、「〜ですわ」と古風な喋り方をします。緑色の長い髪を巻いたボリュームのある髪型が特徴的。そういえば、レアもセテスも緑色の髪をしており耳を隠していますよね。

屈託が無く誰とでも交流を持ち、恋愛に興味津々のおませさんだったりもして、非常に可愛らしいフレンですが、5年経っても彼女の容姿は全く変化無し。とても前線では戦わせられない感じなのに槍が得意だったりするのも、なんだかとても意味深。支援会話や落とし物でも、自分の正体について彼女の方からボロを出してくれる感じです。

 

ツィリル(声:河西健吾)

パルミラ出身の少年ツィリル。戦災孤児の自分を助けてくれたレアに恩義を感じ、深く尊敬しています。レアの役に立ちたいという思いが強く、修道院の雑用をこなす真面目な仕事ぶりは、セテスから自分の目標を持った方が良いと心配されるほど。素っ気ない態度で接してきますが、素直な良い子です。

ツィリル自身は故郷に未練は無いようですが、パルミラ出身といえばやっぱりドラゴンでしょ〜ということで、弓と斧を鍛えて彼にもドラゴンに乗ってもらい、悦に入っていました。

 

セイロス騎士団の人々

 

ジェラルト=アイスナー(声:大塚明夫)

主人公の父親。セイロス騎士団の団長として歴代最強とも謳われる伝説的な存在でしたが、騎士団を離れ主人公と共に傭兵を生業としていました。

士官学校の級長3人を盗賊から救ったことで、図らずもかつて部下だったアロイスと再会。主人公と共にガルグ=マク大修道院に招かれ、レアに請われて再びセイロス騎士に属することに。レアの方は懐かしそうにしていますが、ジェラルトの方は彼女と距離を置きたい様子です。

21年前、ジェラルトはセイロス教の修道女であるシトリーと結ばれ子を授かりました。その子が主人公です。しかし出産時に妻と子に起こったある出来事からレアに不審を抱いたジェラルトは、大聖堂で起きた火事で赤ん坊が死んだと偽り、生まれたばかりの主人公を連れて教団を離れたのです。

その後ジェラルトは、自身がセイロス騎士団の団長であったことを伏せ、セイロス教との関わりを徹底的に避けて主人公を育ててきました。それほどまでにジェラルトのレアに対する不信は根深く、再会した際に主人公を教団を離れた後に生まれた子だと偽って紹介するほどに警戒をしていました。

士官学校の教師となり生徒たちと交流を持つうち、主人公は少しずつ感情が表に出てくるようになっていきますが、そんな我が子の流す涙をジェラルトが初めて目にするのは、「闇に蠢く者」の1人であるクロニエに刺された彼自身が死にゆく時でした。

 

アロイス=ランゲルト(声:坂巻学)

気さくで陽気な性格のアロイス。ダジャレ好きで大きな声で豪快に笑い、話していると彼のその明るさとパワーに圧倒されます。趣味は釣りですが、賑やかなせいか成果はあまり良くない様子。

少年の頃に当時騎士団長だったジェラルトに拾われて従者となり、セイロス騎士団に属することに。幼くして両親を亡くした彼にとって、ジェラルトとの出会いが新しい世界へ踏み出すきっかけとなったのです。

そんな過去からジェラルトを敬愛して止まないアロイス。ジェラルトの子どもである主人公のことも、まるで実の肉親のように非常に大切に思ってくれます

 

ギルベルト=プロニスラフ(声:小上裕通)

セイロス騎士団の一員であるギルベルト。敬虔なセイロス教徒で、物静かで礼儀正しい実直を絵に書いたような人物です。

実は元王国の騎士で、本当の名前は「ギュスタヴ」。アネットの父親です。「ダスカーの悲劇」で国王を守れなかった罪悪感から妻と子を置いて出奔し、セイロス騎士団に属することに。名前を変えてはいるものの、イエリッツァのように顔を隠しているわけでもないので、娘のアネットはもちろん面識のあるディミトリやドゥドゥーなどは気付いています。が、今はセイロス騎士団のギルベルトとして生きている彼の心境を慮って彼らは何も言わずにいます。さすが青獅子、察しが良くて気の利く子たちです。ギルベルト、子供に気を使わせちゃいかんよ。

青獅子のルート後半で仲間となってくれ、心を閉ざし指揮が執れない状態のディミトリの代わりに、まとめ役をしてくれます。

 

カトリーヌ(声:松浦チエ)

セイロス騎士団の騎士で、この士官学校の卒業生。王国貴族カロン家の出身で、幼い頃のディミトリにも会っています。「ダスカーの悲劇」で濡れ衣を着せられた彼女はレアに匿われ、祖国と名を捨ててセイロス騎士団に入りました。実の名はカサンドラ。自分を救ってくれたレアに対して、絶対の忠誠を誓っています。

 

シャミア=ネーヴランド(声:渡辺優里奈)

セイロス騎士団の一員のシャミア。彼女はペトラの出身地ブリギットよりもさらに西方のダグザ出身で、セイロス教は信仰していません。

元傭兵で、あまり感情を表に出さないドライでクールな性格。レアに恩義は感じているもののあくまでも雇用関係であり、騎士団を離れることが常に彼女の中で選択肢にある様子。しかし、カトリーヌとは互いに良い相棒として深い信頼関係を築いています。

 

士官学校の人々

 

ハンネマン=フォン=エッサー(声:浜田賢二)

士官学校の教師であり紋章学者のハンネマン。元は帝国の貴族です。いつもは冷静なのですが、紋章について研究熱心のあまり我を忘れてしまう場面も。主人公の持つ炎の紋章は彼にとって非常に興味深いもののようで、たびたび調べさせて欲しいと頼んできます。同僚のマヌエラとは仲がいいのか悪いのかという感じ。いいコンビです。

 

マヌエラ=カザグランダ(声:小島幸子)

かつては帝国のミッテルフランク歌劇団の歌姫として活躍していたマヌエラ。男性との運命的な出会いを夢見ていますが、なかなか叶わず、お酒で憂さ晴らしをしたり主人公に愚痴ったりしています。とはいえ、絶頂期に歌劇団を辞めて士官学校の教師になるなど、実は自分の力でしっかり生きていこうとしている人です。

 

イエリッツア=フォン=フリュム(声:伊丸岡篤)

士官学校の教師で、主に鍛錬を担当しているイエリッツア。フリュム家の養子で、それ以前の経歴は不明。剣の腕は確かですが目元を覆う仮面をつけて顔を隠しており、明らかに怪しい謎の人物。最初の頃は話しかけても拒絶され、話せるようになったらなったで、手合わせを「死合う」などと表現し、こちらを困らせてきます。しかし、彼の好きなものは猫と甘いもの! 平然と氷菓子を食べたりして、ギャップにパンチ力があります。

途中で姿を消してしまいますが、実はあるルートで主人公と性別問わず支援Sまでいけるんです。彼とは他の人たちとはひと味違うペアエンドを迎えられます

 

ここまで登場する主なキャラクターについて個人的な思い入れを交えて書いてきましたが、この『ファイアーエムブレム 風花雪月』の作り込みは半端じゃありません。それぞれにドラマのあるサブキャラクターについても語りたい! のですが、その話題については後ほど語るとして、次回は『ファイアーエムブレム 風花雪月』というゲームタイトルの意味とテーマソングについて語っています。ご興味を持ってくださった方はこちらからどうぞ。

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