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『ファイアーエムブレム 風花雪月』について語りたい【16】サブキャラ語り

ファイアーエムブレム 風花雪月』には魅力的なキャラクターたちが多く登場します。生徒・教師・教団関係者と、主要人物だけでも相当な人数ですが、彼らを取り巻く人物も大勢。しかもただ人数が多いというだけでなく、それぞれが思わず深掘りしたくなるような魅力とストーリーを持っており、そのおかげで物語にグッと奥行きが生まれているんです。

ということで今回は、今作に登場するサブキャラさんたちの中から私が個人的に特に気になっている人たちについて想像・妄想逞しく語りたいと思います。

ネタバレが含まれるので、未プレイでネタバレダメという方は注意してお読みください。

 

気になる「風花雪月」のサブキャラたち

アランデル公

エーデルガルトの伯父さま、アランデル公。小貴族でしかなかった彼が勢力を伸ばしたのは妹のアンゼルマが皇帝に見染められ側室になったことがきっかけ。元々は敬虔なセイロス教の信者と知られ公明正大な名領主だったそうですが、七貴族の変の主犯格と見られダスカーの悲劇への関与が疑われるなど、本編ではその面影は全く感じられません。

エーデルガルトの伯父アランデル公

威厳があるというか、顔が怖いです

他の章では光の杭による襲撃がありますが、「蒼月の章」でアランデル公がディミトリに倒されてしまうと光の杭が落ちてこないことから「あなた闇に蠢く者だよね? タレスだよね?」って感じになるわけですが、姪であるエーデルガルトが伯父の変化をどう思っていたのか気になるところ。

タレスによって殺され成り代わられてしまっているとまでは思っていなかったかもしれませんが、教団を倒すという目的を果たした後は彼女にとって邪魔でしかない鬱陶しい存在のはず。「銀雪の章」「蒼月の章」「翠風の章」では漏れなくタレスは倒されていますし、「紅花の章」ではエーデルガルトの味方に主人公がいるのでこちらでも彼が逃れることはできそうにありません。なんにしろ黒幕として討たれる他に道がない感じで、元は良い人だったはずなんだけどなぁと気の毒な感じがしています。

 

ランドルフとフレーチェ

ランドルフは帝国軍の将軍で、カスパルの祖父の後妻の連れ子という複雑な立ち位置。フレーチェという妹がいます。全くベルグリーズ家の血を引いていないランドルフカスパルの祖父が家督を継がせようなどしたせいで、彼の立場はさらに居心地の悪いものに。だからですよね、ランドルフは武勲をあげようと必死に頑張っています。妹思いの真面目な青年なんですよ。

カスパルは彼に特別悪い印象は持っていないようなので、案外上手くやって行けたかもしれませんが、「紅花の章」を含め全ルートでランドルフは戦死。母の再婚はちょっとした玉の輿だったのでしょうが、そのおかげでランドルフは命を縮まってしまったのかもしれないですね。

兄弟姉妹といえば、金鹿ではヒルダと兄のホルストやラファエルと妹のマーヤが姿こそ見せませんがよく話に出てきて非常に仲良さそうですよね。一方で、黒鷲ではエーデルガルトとカスパルに、青獅子ではフェリクスとシルヴァン、メルセデスに兄弟がいますが、それぞれ事情があって単純に仲が良いとは言い切れない感じです。

このランドルフとフレーチェの兄妹は2人ともしっかり本編に登場し会話を交わすのですが、彼らがきちんと描かれるのは「紅花の章」と「蒼月の章」のみ。生徒たちの兄弟仲がイマイチなこの2つの章において互いを思いやる彼らの会話はそれだけでとても印象深いのですが、この兄妹の関係と血がつながらないとはいえ姉弟で戦うことになったエーデルガルトとディミトリとの関係とが対照的に描かれることで、物語にさらに深みが増していると思います。

 

パトリシア

エーデルガルトの実母で、ディミトリの義母でもあるパトリシア。ディミトリの父ランベールは、なぜ帝国皇帝の側室だった厄介な女性を娶ったのか? とどうしても思ってしまうんですが、逆にそこまで高貴な女性だからこそ並の男性に任せるわけにもいかなかったんでしょう。皇帝に見染められるほど魅力的な女性だったでしょうし、祖国と娘を捨て王国に逃れてきた彼女に同情もしたでしょうし、匿ってあげなくてはと考えたでしょうし。ランベールにとってパトリシアを娶ることは案外自然な流れだったのかもしれません。

そんなパトリシアが実の娘エーデルガルトに会いたさに「ダスカーの悲劇」を引き起こしたとされているわけですが、でもそれは彼女がランベールやディミトリを全く愛していなかったということではないと思うんです。確かにパトリシアが彼らをどう思っていたかはわかりません。しかし、ランベールにパトリシア以外の女性との間に子どもがいる様子が無く、彼女はランベールから大切にされていたと思われますし、ディミトリが生母以上に慕っていることから、彼女がディミトリを実母のように慈しんでいたと感じます。私は彼ら3人の心の繋がりはちゃんとあったと思うんです。

ランベールやディミトリを愛する気持ちと実の娘に会いたいと思う気持ちは、全く別物であり両立します。自分だけ逃げたことに、パトリシアは深く悔やむ気持ちを抱いていたでしょう。「全てを犠牲にしてでも娘に会いたい」と本当に彼女が口にしたのならば、犠牲にしようとしていたのは「自分の命」ではないでしょうか。王国の王妃となった自分が帝国の皇女である娘に会おうとすれば、皇帝からも国王からも怒りを買って殺されてしまうかもしれない、それでもひと目会いたい。パトリシアは、そんな悲壮な思いを「闇に蠢く者」に利用されてしまったのです。

妄執を乗り越えて急に大人になってしまったディミトリは、もう継母の記憶は薄れてしまったと言って、無理矢理パトリシアへの思慕もどこかに追いやってしまっていました。でもできることなら、そんなことしなくてもいいんだよ、あなたはパトリシアに愛されていたよ、とディミトリに言ってあげたいです。

 

ロドリグ

ロドリグは、王国軍の中でギルベルトと共に王国の内情を知っている大人。彼はギルベルトと違い外向的で、領地を弟に任せ自ら軍に合流するような豪快な面もあります。彼の登場によって辛気臭くかった王国軍の士気が上がり、グッと前向きになっていくのを強く感じられます。

しかも、王国軍の人々が抱く複雑な思いを説明し、手をこまねいている状態の主人公に立ち位置を示してくれ、閉ざされていたディミトリの目を覚まさせるきっかけになるなど、ロドリグはとにかくおいしいところをガッツリ持っていっちゃうんですよね。

主人公に語るロドリグ

主人公に思いを託すロドリグ

でも、ロドリグはディミトリが帝国に勝利するのを見届けることなく、途中で命を落としてしまいます。「ダスカーの悲劇」で、親友であり君主でもある国王ランベールを失い、自らの長男も失ったロドリグ。彼もディミトリのように、自分が生きていることを負い目に感じていたと思うんです。親友を失った悲しみと、王を守れなかった臣下としての自責の念と、息子を守れなかった親としての無念さとを胸に抱え、ロドリグ自身もどこかで死を望んでいたのではないでしょうか。

王国の未来を担うディミトリを身を挺して庇い、彼を守り切って死ぬことは、ロドリグにとって本望だったはず。だからこそ彼は、自分の信念のために生きろという強いメッセージをディミトリに伝えることができたのだろうと思います。

 

イクラ

シルヴァンの兄であるマイクラン。大貴族とされるゴーティエ家に生まれながら、本人に何の落ち度も無いというのに弟のシルヴァンが紋章なんていうものを宿していたがために廃嫡されてしまうのですから、マイクランが弟が生まれたことを喜ぶこともできず、憎しみを抱いてしまっても仕方ないですよね。

そりゃ荒れるのも当然だなとマイクランに同情はしますが、でも何も盗賊団の頭になることはなかったんじゃないの? とは思いますよね。さすがに親への当てつけのように村々を襲っては略奪を繰り返すっていうのはやりすぎでしょう。たとえ家督を継げずとも、王に仕える騎士として身を立てる決意を彼が持つことができていたら、と思わざるを得ません。

コナン塔に立て篭もったマイクランが、弟であるシルヴァンを「お嬢さん」と呼び挑発するのが結構衝撃的でしたが、そう揶揄したくなるほどにシルヴァンは周囲の人間から大事にされ、マイクランはぞんざいな扱いを受けていたのでしょう。幼いシルヴァンに手をかけてあげないといけないのは事実ですし仕方ない面はあると思いますが、マイクランだってまだ子どもなのに明らかな扱いの差を見せつけられたら傷つきますよね。そのせいでシルヴァンも自己肯定感が非常に低く苦しめられているわけですし、少しでも親がフォローしてあげていれば、この兄弟がこんなに拗れてしまうこともなかったのにと切なくなります。

 

ジュディット

「ダフネルの烈女」と呼ばれるジュディット。彼女が当主を務めるダフネル家は同盟の五大諸侯から外れていますが、彼女自身へのリーガン公からの信頼は厚く、クロードのリーガン家入りに助力したといいます。

でも彼女がなぜクロードの後見人のような立場を請け負ってくれたのか、ちょっと気になりますよね。彼女の兵種はロード。カリスマ性のある非常に有能な女性であり、クロードが盟主の器であると見抜く先見の明を持つ人物なのでしょう。が、それだけではない気がするんです。

豪放な性格のジュディット

烈女と言われるだけあって豪快な性格です

ジュディットの年齢は明らかではありませんが、バルタザールがまだ子供の頃に舞踏会でクロードの母ティアナとジュディットの姿を見ており、年齢は近そうで気が合いそうな二人には親交があったのではないかなと思うんです。ジュディットは、恋に落ちた異国の男性のために祖国を捨てるという決意をティアナから聞かされていたかもしれませんし、もしかしたらそんな彼女の背中を押してあげるくらいのことをしていたかもしれません。そして年月が経ち、異国へと去ったティアナの息子がリーガン家の嫡子として同盟に戻ってくるとなれば、それは援助してあげようという気持ちにもなりますよね。

紋章を持っていることからリーガン家の血筋であることは証明できますが、父親は誰か、どこで過ごしてきたかなど、おいそれとは明らかにはできなかったクロードにとってジュディットの存在はとても心強いものだったはず。彼女には頭が上がらないことになっていますが、実際には彼女はクロードが甘えられる唯一の人物なのではないかと思います。

 

ナデル

ナデルは「百戦不敗」と異名を持つパルミラの将軍。リーガン家の家宰として、ナルデールとバレバレな偽名を名乗ってクロードのいない間の留守を預かっています。

フォドラの人はパルミラ人のことを戦いを好む野蛮な民族だと見ていて、油断ならないと考えています。実際にたびたびパルミラ人と小競り合いが起きるため、ヒルダの兄ホルストが常に「フォドラの喉元」で睨みを効かせており、彼はそのため本編での戦闘には絡めません。

しかし、パルミラの将軍と知らずにナデルと会ったジュディットは、初対面だったにも関わらず自分の領地の留守を預けるほど信用できる人物だと踏んでいますし、クロードに連れられて主人公がデアドラに赴いた際に彼と会話を交わすときには、(クロードには随分と砕けた話し方をしていましたが)とても丁寧な言葉遣いで紳士然とした振る舞いを見せており、フォドラの人々から聞く「パルミラ人」とはちょっと違う印象を受けます。

フォドラの人々がパルミアを怖いと思うのは、言葉の問題もあるんじゃないかなと思うんですよね。フォドラとは隣接しているとはいえ山岳地帯が間に挟まっているので、パルミラの言葉がフォドラでは通じない可能性があります。知らない言葉を喋る民族、というだけでハードルは上がってしまいます。ナデルがリーガン家の家宰としてフォドラにいるのは、クロードがパルミラにいた幼い頃からの信頼関係があることに加えて、彼がフォドラの言葉を話せるということが大きかったのではないかと思うんです。そしてホルストと対面して意気投合できたのも、彼がフォドラの言葉を話せることできちんとした意思疎通が図れたからかもしれません。

 

アンナ

アンナといえばFEシリーズには欠かせないキャラクター。今作では商人として修道院の前の広場に立ち「アンナの店」を開いていたり、仲間となって共に戦ってくれたり、クエストを依頼してきたり、支援会話の中に登場したり、外伝があったりと、大活躍です。

一番アンナがいてくれて良かったなぁと思ったのは、ジェラルトが亡くなった時でした。アンナは主人公よりも年上だけど、アロイスやハンネマンなどよりは若く、年齢的には主人公のお姉さんのような感じ。そしてFEシリーズを知っている人にとっては馴染みのキャラクターでありながら、本編の物語に絡んではこない程よい距離感。しかも、彼女は主人公が生まれる前のジェラルトを知っている様子。たくさんの人たちが主人公にお悔やみと慰めの言葉をかけてくれますが、どうしても「士官学校の教師」としてそれらの言葉を聞いてしまうんですよね。それが自学級の級長さんであっても。でも、アンナからの言葉は、すっと素直に「父ジェラルトの死を悲しむ息子(娘)」として受け止められたんです。

これってきっと、FEシリーズとしての時間の積み重ねがあってこそですよね。今作のずっと以前からアンナは自分のことを知ってくれている、そのプレイヤーの感覚が主人公とリンクしたんだろうなと思っています。

 

アビスの門番

修道院の門番さんはプレイした誰しもが好きになってしまうキャラクターですよね。彼とののんびりとした会話が、シリアスな展開の中での良い息抜きとなっています。が、門番は修道院だけにいるわけじゃありません。アビスの門番さんは、より一層ドラマを感じさせるんです。

ハキハキとした修道院の門番さんと比べて、アビスの門番さんはちょっと気怠げ。アビスに住む人なので戦争については若干他人事のような感じですが、主人公が無事に戦場から帰還して話せるのを楽しみにしてくれているのを感じます。

アビスの門番さんとの会話は各章で少しずつ違いがありますが、共通しているのはラストで彼がアビスを出ようと決意していること。その決意に至るまでがとってもドラマチック。「紅花の章」「蒼月の章」ではデアドラ出身である彼は同盟が無くなってしまったことにショックを受けますが、新しい時代が来るなら自分もアビスを出ようかと主人公に告げています。

これだけでも物語性を感じますが、さらにドラマチックなのが「翠風の章」「銀雪の章」。第一部「白雲の章」で騎士団からアビスの見張りに派遣される騎士がおり、アビスを訪れるたびに門番さんとその騎士との親交が深まっていきます。しかし第二部で、その騎士が戦争で亡くなってしまったことが判明するんです。主人公との会話から、その騎士の妹がアビスを訪ね、門番さんに兄の死を伝えたことが窺い知れます。騎士に恩返しできない代わりに彼女の役に立ちたいと言っていた門番さんは、ラストで「結婚してアビスを出ようと思う」と告げるんです。相手について言及されてはいませんが、騎士の妹さんであることは明らかですよね。

主人公と話すアビスの門番

騎士と会えなくなり寂しがるアビスの門番さん

アビスは後ろ暗い事情などがあって地下に逃れてきた人々が集まっている場所。門番さんも地上にはいたくない理由を抱えていたはずです。そんな彼が友人を失い、愛する女性と出会い、彼女と結婚をして地上に戻り真っ当な生活を送ろうと決意するまでの流れを、戦争が始まり終わる経過と並行して見届けることができ、とっても胸が熱くなってしまいました。

ここで取り上げなかった人物にもそれぞれのドラマがあり、想像が膨らんでいきます。そのことによって物語そのものに奥行きが生まれると同時に、大きな世界の中の一部分を覗き見ているような感覚を抱かせているのです。

 

前回は今作における主人公の役割について語っています。ご興味を持ってくださった方はこちらからどうぞ。

isanamaru.hatenablog.com