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『ファイアーエムブレム 風花雪月』について語りたい【17】ペアエンド

『ファイアーエムブレム 風花雪月』をプレイしている間に愛着が湧いたキャラクターたちが、戦争終結後に「誰」と「どんな人生」を歩んでいったのか、とっても気になりますよね。ということで今回はキャラクターたちの後日譚(ソロエンド・異性・同性ペアエンド)について語りたいと思います。

ネタバレが含まれるので、未プレイでネタバレダメという方は注意してお読みください。

 

それぞれのエピローグ

帝国の挙兵に端を発した5年以上にもわたる長い戦争が終わり、フォドラに再び平穏が訪れると、主人公(ベレト・ベレス)をはじめとするキャラクターたちは各々自分の人生を進むことになります。共に戦ってきた仲間たちが戦争が終わった後にどう過ごし生きたのか、エンディングの後に戦績とともに知ることができます。

称号

エンディングでは全キャラクターが称号(というよりも二つ名と言った方がいいかも)と共に紹介されます。ヒューベルトは【女帝の懐刀】、ローレンツは【赤薔薇の貴公子】など、これしか無いって感じです。

しかし中には複数の称号を持つ者もいて、例えばアロイスは【騎士団の太陽】もしくは【ただ家族の元へ】と称号は2つ。そのキャラクターが送った人生の違いによって、エンディングで与えられる称号が違ってくるのです。

 

後日譚

後日譚は自軍の全てのキャラクターに用意されていて、使う機会のなかったキャラクターでもちゃんと紹介してくれます。ストーリーに直接は絡まずソロエンドのみのアンナでも、しっかりと戦争後の様子がわかる文章で紹介されます。戦闘には使わなかったとしても彼らは共に過ごし会話を交わした仲間。扱いに格差がないというのはうれしいですね。

アンナ以外のキャラクターたちは後日譚に色々なバリエーションがあり、ペアエンドの条件に適う支援の深まりを結べた相手の有無や相手が誰かによって、その後の人生が大きく違ってくるんです。

アンナの後日譚

アンナはやっぱりこうでなくちゃという後日譚

ペアになるためには全ての支援会話をしていることが必要。支援Aの相手が複数いる場合、より支援が深いキャラクターとペアになっていきます。一番支援を深めていたつもりだったのに狙ったペアが成立しなかったり、逆に予想外の組み合わせのペアが成立することもあり、ちょっとしたお楽しみ要素でもあります。アビスの占い師のところで支援を深めたり、結びつきの深さを確認することもできますが、副官を変えたり連携などに気をつけて最後の戦闘のみをやり直してみたらペアの相手が変わって驚いた経験があります。星結びで確定できるのは1組のみですし、成立させたいペアエンドがある場合は最後まで気が抜けませんね。

 

ソロエンド

ソロエンドはそのキャラクターの性格や生き方がそのまま出るエンディング。主人公が担任した学級の生徒たちは基本的に自領に戻り領地の統治を行うことが多く、帰るべきところに帰っていくといった感じ。スカウトされた他学級の生徒たちは、自学級がメインとなる章とはまた違ったエンディングを迎えます。生徒たちがそれぞれの人生をしっかりと自分の足で歩いていった頼もしさが感じられ、ソロエンドってけっこう好きです。

 

ペアエンド

誰とどれだけ支援を深められるかはキャラクターによって異なります。基本的に同じ学級の生徒同士で支援が深まり、他学級や教団・騎士団の人たちとは支援を結べる相手が限られています。自学級以外の誰と支援を結べるか、その人選にはキャラクターの性格が出ていてとても面白いんです。例として級長さんたちの「自学級以外の支援相手」を挙げてみます。

 

⑴エーデルガルト
敵国である青獅子の生徒に支援相手は無し。政策の提言を行い「帝国の叡智」とさえ言われることになるリシテア、「魔道具」を発明し紋章の有無による不公平さを解消させたハンネマンなど、エーデルガルトが望む世界の実現に貢献してくれる「能力重視」の人選

⑵ディミトリ
敵国の人間である黒鷲からの支援相手は無し。昔馴染みのカトリーヌ、生きていることに罪悪感を抱くという共通点があるマリアンヌ、過去にディミトリの継母パトリシアと言葉を交わしていたハピなど、「繋がり重視」の人選

⑶クロード
ブリギットの王女ペトラ、タグザの傭兵シャミアはそれぞれ異国の出身。また、バルタザールは「山の民」クパーラの血を引き、フレンは存在そのものが謎。異質なものや未知のものに惹かれる傾向のあるクロードは、「好奇心」による人選

 

何に関しても相容れない級長たちですが、支援相手の人選もやはり三者三様。でも、キャラクターの性格設定がしっかりしているので、それぞれの支援相手の人選がしっくりきます。さらに支援会話の内容がとても良く練られており、関係が深まっていくことへの納得感を補完してくれます。

このことはもちろん級長以外にも当てはまります。仲良く話していても支援B止まりだったり、支援Cの段階では喧嘩をしていた2人が最後にはペアになったりもしますが、プレイをしているとそれぞれの支援の深さの設定が腑に落ちるんですよね。

例えばシルヴァン。女癖の悪い彼ですが、その反面、女性は自分の紋章だけが目当てだと警戒していて、実はあまり心を開いてくれない人だったりします。そのことがしっかり反映され、彼とペアとなるのは女性主人公を含めて5人のみ。しかも女性主人公以外は、幼馴染みのイングリット、男性に対して冷めているドロテア、紋章に振り回される苦しみを知るメルセデス、そして死ぬ時は一緒だと誓った親友のフェリクスと、彼が弱い部分を見せられる数少ない相手ばかり。納得しかありません。むやみにペアとなれる相手を増やすことをせず、そのキャラクターに合った相手をしっかり考えて設定されていることが強く感じられうれしくしくなります。

 

異性ペアエンド

異性ペアエンドは結ばれて夫婦となる場合が多いのですが、どのペアも微笑ましく感じらるエピソードばかり。特に気に入っているエピソードをいくつか挙げていきますと

  • 妻の銅像を造らせるも当の妻の願いでお蔵入りにされてしまうフェルディナント
  • 駆け落ち相手とガルグ=マク大修道院に居着き士官学校の教師になるという、驚異の行動力を見せるベルナデッタ
  • 貴族の身分を捨て剣を手に各地を転戦する中で愛する女性と再会し、彼女のために剣を捨てるフェリクス

このような断片だけ見ても、ペアの相手は誰なのか興味が湧きませんか?

さらにすごいのは相手による差分。キャラクターの人数分のソロエンドを考えるだけでも相当な労力だと思うのですが、異性ペアエンドでは相手による差分が実に細かく、ただ「結婚して末長く幸せに暮らした」だけでは済まさないんです。

婚儀の描写

  • ささやかな婚儀を催して夫婦の誓いを交わした
  • 領民の盛大な祝福を受けて、素朴ながらも賑やかな婚儀を催した

夫婦の様子の描写

  • 片時も離れない領主夫妻の仲にあてられて結婚する者が続出した
  • たまの休暇には夫婦二人での料理や家事を楽しんだ

などなど、細かい部分までそのペアに相応しい表現を考えるのはどれほど大変だったろうかと想像するとため息が出てしまいますが、そのおかげでエピローグを迎える楽しみがより大きくなっています。

 

同性ペアエンド

異性ペアもあれば同性ペアもあります。同性ペアエンドは異性ペアエンドのように恋愛一択ではないため、あり方がとても多様。人と人の強い結びつきは決して恋愛だけじゃないですよね。

友情ペアエンド

  • 互いに深く分かり合う様子にエーデルガルトも嫉妬するほどだったヒューベルトとフェルディナント
  • 毎日のように手紙を交わし、晩年は2人で過ごしたメルセデスとアネット

恋愛ペアエンド

  • ブリギットとフォドラの友好的交流に尽力し、ペトラの最も愛しい人と知られるようになるドロテア
  • 互いを生涯の相棒と定め、2度と道を違えることのなかったシャミアとカトリーヌ

主従を超えた情愛ペアエンド

  • ディミトリの息子である王子を教導し、穏やかな余生を過ごすギルベルト
  • 主人公を我が子のように見守り、その婚儀の場で人目もはばからず号泣するアロイス(女性主人公の時も同様)

同性ペアエンドの自由度が非常に高いのは、今作に子世代でのストーリーが無いということが大きいように思います。士官学校の時から手塩にかけて育ててきた生徒たちの子供の姿を見てみたい気もしますが、フォドラ全土を巻き込む戦争は彼らの世代でしっかり決着がつけられ、子供たち世代が戦う必要のない平和な世界を実現できたのだということは喜ばしいことですよね。

 

主人公のエンディング

最終決戦の前に、主人公がジェラルトの形見の指輪を誰に渡すかの選択をする場面があります。他のキャラクターと違い、主人公は指輪を渡す相手を決めることでペアを確定させるのです。その選択肢の中には「誰も選ばない」という項目もあり、プレイヤーの意思で、主人公が迎えるのがソロエンドかペアエンドか、誰とペアになるかを選ぶことができます

 

主人公のソロエンド

他のキャラクターたちのソロエンドは、条件を満たす支援相手がいないからという消極的なものですが、主人公のソロエンドはプレイヤーが「誰も選ばない」ことを選択した能動的な結果です。

主人公はストーリー上、「紅花の章」では「闇に蠢く者」との戦いに引き続き身を投じ、「蒼月の章」ではレアに代わって大司教の座に就き、「翠風の章」ではクロードに託されて、「銀雪の章」では教団主導の下でフォドラ統一王国の初代国王となることは変えられません。

しかし、エンディングを共にする相手を誰にするのかだけでなく、指輪を渡さずにペアの相手を誰も選ばないでいるという選択ができることによって、そのストーリーに関わらないギリギリの部分までプレイヤーが思う「主人公らしさ」を実現させることができるのです。

 

主人公のペアエンド

主人公は性別を変更することで他の生徒たちは絶対に選べないレアやソティスも含め、キャラクター全員とペアになれます。また、他のキャラクターと同様に同性ペアエンドも用意されています。

男性主人公の場合、同性ペアエンドの相手は5人。そのうち伴侶や愛と明示される同性婚エンドはリンハルト、ユーリス、イエリッツアの3人。女性主人公の場合は、同性ペアエンドの相手はやはり5人。エーデルガルト、ドロテア、メルセデス、レア、ソティスの5人全員が同性婚エンドです。

主人公とのペアは、ギルベルトとアロイスのみ例外として、性別問わず恋愛としてのペア。異性同性合わせてもペアエンドを迎えられる相手の人数は、男性主人公より女性主人公の方が多くなっています。

 

主人公の同性ペアエンドに物申したい

主人公の同性ペアエンドについて、自分的にとってもとっても残念に思っていることが実は1つだけあります。それは、級長さん3人の中で主人公と性別問わずペアエンドを迎えられるのが、エーデルガルトしかいないということなんです。

 

級長全員を等しく「特別扱い」して欲しかった

エーデルガルト、ディミトリ、クロードの級長たちは、それぞれ主人公と他の誰よりも深く信頼しあい、心を1つにして共に戦っていきます。だからこそフォドラの国のあり方を大きく変えるほどの大戦を最後まで戦いぬき、勝利することができるのです。

なのに、エーデルガルトは主人公と性別問わずペアになれても、ディミトリとクロードは女性主人公としかペアになれません。主人公と級長さんたちとの心の距離が性別の違いだけで差を付けられたように感じられ、私は非常にがっかりしてしまったんです。

確かに「紅花の章」でフォドラの全てを敵に回すエーデルガルトの味方になると主人公本人が選択する場面があり、強い思いを感じます。でも、「蒼月の章」では復讐心に囚われてしまっていたディミトリを立ち直らせ一国の王として前を向かせていますし、「翠風の章」ではクロードと共に隠蔽されてきたフォドラの歴史を暴きフォドラの真の脅威である「闇に蠢く者」とネメシスを討ち倒しています。彼らと主人公との心の繋がりの強さは、エーデルガルトに劣るものではありません。

それに、ディミトリはドゥドゥー、フェリクス、ギルベルトの3人との、クロードはローレンツとバルタザールの2人との同性ペアエンドがちゃんと存在しています。こうなるとディミトリとクロードが男性主人公とのペアエンドを迎えられないことが、むしろ不自然に感じられてしまうんです。

その不自然さは、アップデートによって紅花の章で仲間にできるようになったイエリッツアと「煤闇の章」で登場するユーリスの2人がそれぞれ男性主人公との同性ペアエンドを迎えられることで、さらに増幅してしまいました。彼らが登場するまで、男性主人公と同性ペアエンドになるのは親子のような絆を見せるアロイスとギルベルト、そして同性婚となるリンハルトのみ。だから男性主人公と同性ペアにできるキャラクターが2人増えて良かったね、ではないと思うんですよ。

男性主人公とユーリスの同性ペアエンドがあることに異議は全くありません。ユーリスは血を分け与えられたことによってオーバンの紋章を持つようになったと推測されます。そのため、ジェラルトがそうであったように彼も長命であると思われます。ユーリスは、主人公の生きる長い生涯を共に生き続けることができるただ1人の生徒なんです。

ですが、ユーリスが灰狼の学級の級長であるために、「本編の級長であるディミトリとクロードだって支援を深めているはずなのに男性主人公とのペアエンドが無い」ことがより強調されてしまったんですよね。 いかにも「男性主人公の同性ペアエンドの相手が少なかったから後から増やしてみました」という感じになってしまいましたし。

エーデルガルトは女性主人公を伴侶とし愛を語らったとありますが、私は必ずしもディミトリとクロードにも男性主人公と婚儀を挙げて愛を語り合ってほしいわけではありません。先述したように、今作のペアエンドの形は多様です。そのことからも、恋愛関係になることだけがペアエンドではなく、2人の間だけに存在する繋がりを形にしたものがペアエンドだと思っています。

だからこそ、級長と主人公の間にある絆が他の生徒たちよりも強く特別なものであることを示すために3人の級長全員に性別関係なくペアエンドを用意し、それを選ぶかどうかをプレイヤーに委ねて欲しかったと、それだけを残念に思ってしまうのです。

 

想像力でカバーします

ディミトリとクロードが女性主人公としかペアになれないことに不満を言ってきましたが、それはストーリーの中のほんの一部分。この『ファイアーエムブレム風花雪月』が面白いゲームであり、何度も繰り返しプレイしたくなる素晴らしい作品であることに変わりはありません。ディミトリとクロードは男性主人公とペアにこそなれませんが、フォドラを復興させてより良い世界を目指し創造していった彼らの間には誰よりも強い絆がある、私たちはそのことを確信しているのですから。

きっと数年後にはファイアーエムブレムシリーズの新作が出ていることでしょう。次はどんなシステムで、どんなストーリーが待っているのか、今からとても楽しみです。それまで私は、次はどのキャラクターたちと戦っていこうか、誰をどの兵種にしようか、どのキャラをペアエンドにしようか、などまだまだ楽しく『ファイアーエムブレム 風花雪月』を遊び尽くしたいと思っています。

 

風花雪月タイトル画面

現在までのプレイ時間は383時間。まだまだ増えていきそうです→500時間目前です

 

次回は全学級を2回ずつプレイ(二巡)した後に感じたことついて語っています。ご興味を持ってくださった方はこちらからどうぞ。

isanamaru.hatenablog.com