観て聴いて読んで書く

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BL『パーフェクトプラネット』について語りたい

皆さんはイイモ先生の商業BL『パーフェクトプラネット』という作品をご存知でしょうか。今回は私を触手に目覚めるきっかけを作ったこの作品について語りたいと思います。

ガッツリ性描写がある作品なので、未成年の方はごめんなさい。大人の方だけこの先をお読みくださいね。

ネタバレが含まれるので、ネタバレダメという方は注意してお読みください。

 

運命の再会をしました

『パーフェクトプラネット』に最初に出会ったのって、たぶんpixivだったような気がします(今は単行本化のお知らせしか載っていないので作品自体が投稿されていたのか確かではありません)。その時はなんとなく作品を漁っていて、特に何も考えずに軽い気持ちで読み始たんですが、主人公の金田くんがアルゴと呼ばれる植物の大量の触手に絡め取られ犯されていく描写に衝撃を受け、「ヤバいもの読んじゃった」と思わず閉じちゃったんですよね。

動揺するあまりにブックマークも付けなかったという痛恨のミス。作者のイイモ先生のお名前も『パーフェクトプラネット』というタイトルも覚えていないため再び見つけ出すことができず、もうこの作品には出会えないなーと諦めていたんです。

しかし、電子書籍のサイトで何かグッとくるBL作品はないかなと探しているうちに、手繰り寄せちゃったんですよ、この作品を。なんだかこの絵柄は見たことがあるような気がすると試し読みをして、すぐに体が震えてしまいました。あの衝撃を受けた触手まみれの作品が書籍で読める! しかもまだ続きがあるなんて! 気付けば購入ボタンを押していました。

2巻の表紙は爽やかですが、本屋さんではこの1巻を手に取るのは私にとってはハードルが高く、きっと中を確認できずに終わってしまったでしょう。電子書籍ありがとう、試し読みありがとうって感じです。

 

触手触手触手

地球と酷似した惑星「RED」。その惑星を調査するために派遣された探索隊の生物調査班に所属している金田純一は、REDで捕獲された生物を宇宙船内に作り出した擬似環境内で飼育し観察するコロニーに配属されます。先輩隊員からコロニー内を案内されながら、元の環境から引き離されてかわいそうだと飼育されている生物に同情する優しい金田。コロニー内で栽培している「アルゴ」という植物と動物の中間のような生物の幼生を見つけた彼は動きが可愛いと口にしますが、先輩隊員から忠告を受けます。

 

発情中のアルゴを見たら真っ先に逃げろよ

 

意思を持つようにウネウネと動く触手を持つこのアルゴという生物、発情期に入ると、オスがメスを取り合うほどに動きが活発になるのです。

はい、皆さまお分かりですね。そうです。金田はオスのアルゴで埋め尽くされた立入禁止区域に、その触手によって引きずり込まれてしまうんです。

金田を同種のメスと認識したオスのアルゴたち。何やら粘液にまみれたアルゴの触手に腕や脚にも絡みつかれ、口の中にまで入り込まれながらも、何度も助けを求めて監視警備室に連絡を入れる金田。しかしやっと繋がった通話もアルゴに阻まれ、まともに話すことすらままならない状態で途中で切れてしまいます。

目を持たないアルゴは手探りでメスの核を探し出そうと無数の触手を伸ばし、金田の服を剥がして裸にしてしまうだけでなく口や鼻をはじめとする彼の体中の穴という穴に侵入。自分の意思とは無関係に、金田はアルゴの触手によって何度も無理矢理絶頂に達せさせられ続けることに。

金田に何かが起きていると察した監視警備室の白石星河(ソンハ)は、彼が立ち入り禁止区域であるエリア7にいることを突き止めますが、モニターに映し出された映像に目を疑います。そりゃそうですよ。金田が無数のオスのアルゴに襲われているんですから。急いで救援隊を向かわせようとする星河。しかしこの宇宙船の最高責任者の息子である桜井望夢(のぞむ)は彼の頭に銃を突きつけ、金田の様子を録画しておくよう指示。結局金田は助けられることなく何時間も全てのアルゴが交尾を終えて枯れてしまうまで襲われ続けたのです。触手を扱う作品の醍醐味とはいえ、読んでいて金田が気の毒になってくるほど。

しかし、金田の受難はこれで終わらないんですよ。ここまでが第1巻の第1話。序盤も序盤なのですから。

 

アルゴとウイルス

無数のアルゴに襲われてしまった金田。星河がその傷ついた心を癒やしてくれるものの、金田は翌日、「生物研究部」に異動させられてしまいます。そこで金田は、アルゴのオスに襲われて生殖行為をさせられたことによってある「効能」を持つウイルスに感染したことを桜井から告げられます。

ここら辺から、ちょっとこの物語の流れが変わっていきます。

アルゴのウイルスによって金田が得てしまった「効能」はなんと「不老不死」。このアルゴのウイルスによる効能は、金田と性交し続けることによって間接的に手に入れられるというのです。そんな大義名分の下、欲望剥き出しの男たちに金田は襲われ続けることに。被検体という名目でモブの方々は金田にやりたい放題。まさに性処理の道具とされてしまうんです。

それまでは「触手にひたすら襲われ続ける金田の姿」がメインに描かれ、「触手、けしからんなー」などと加虐心を刺激されつつ、触手に苛まれているかわいそうな金田の姿を堪能し読み進めてきたわけです。確かにここまでは、「制御できない触手ってシンプルに良いなぁ〜エロいなぁ〜」という感じでした。

しかしそこに、老いと死を恐れる人間が求めてやまない「不老不死」という要素が加わることで、生命の理に逆らう力を得て生き長らえ続けようと嬉々として金田を犯す人間の欲深さやおぞましさがこれでもかとばかりに誌面に溢れてくるんです。

この作品を読んでいると、イイモ先生は人間の心のドロドロとした部分を描くのがとても上手い方なんだなと感じます。さっぱりとした可愛らしい絵柄なので、エロと人間の内面のグロテスクさとが中和されて読み進めていけましたが、これがもっと違う絵柄だったらこの作品を最後まで読み通すのは無理だったんじゃないかと思うぐらい、これでもかってくらいに金田が犯される様子が描かれ続けるんです。

唯一心を許せる存在であった星河により、金田はこの宇宙船の男どもから逃げ出すことに成功。見知らぬ星に辿り着きます。しかし安堵するのも束の間、星河と引き離されてしまった金田は、アルゴを神と呼ぶ星の男どもから不老不死をもたらす「伝導者」として再び襲れてしまうことに。アルゴに絡み付かれ何人もの男たちに寄ってたかって犯されて、金田の人権も何もありませんよ。

金田を攫っていった男たちによって瀕死の傷を負わされてしまった星河の前に、リリアという少年を連れた桜井が現れます。このリリアも金田と同様に不老不死の効能をもたらす「伝道者」だったのです。何人もの男どもに体を捧げ続けてきたリリア。しかし彼はそのことを務めを果たしてきただけだと口にします。自身も不老不死であり、自分と交わった人間も不老不死の効能を得るため、このままではリリアの代わりに金田は永遠に無数の男どもに蹂躙され続けてしまうことになります。金田を救おうとする星河ですが、彼の体はアルゴに蝕まれていたのです。

星河は果たして金田を助け出してこのおぞましい世界から無事に抜け出すことができるのかという彼らのその脱出劇と同時進行で、ただひたすらに不老不死と性の快楽だけを求め生き続けてきた人間たちの歪んだ欲望のみで成り立つ星の成れの果てとアルゴが秘めていたある切迫した「意志」を、目の当たりにすることになるんです。

この『パーフェクトプラネット』という作品は、全く予想もしていなかった終着点に辿り着きます。読み終えた後には、物語序盤で金田を弄ぶただのエロ担当だった触手を持つアルゴというこの不気味な生物に、切なさすら感じてしまっている自分がいました。

 

前回は鶴亀まよ先生の商業BL『あかりと彼はなやましい』の2巻について語っています。ご興味を持っていただけた方はこちらからどうぞ。

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