愛の告白、良いですよね〜。思いの丈をちゃんと言葉にして相手に伝える場面というものには感動しますし、強い憧れと羨ましさをも感じてしまいます。ということで、今回は恋が生まれる告白のセリフが印象的に描かれたBL作品をピックアップして語りたいと思います。
幼い運命の番
恋が生まれる瞬間を目撃してしまうと、こちらまでドキドキしてしまいますよね。現実にはそう簡単に恋は生まれてくれませんが、BLの世界の中では極上の恋が生まれています。
逃れられない運命的な恋が生まれる市梨きみ先生の『さよならアルファ』。
オメガバースは男女の性別に加えてアルファ・ベータ・オメガの性がある世界。なかでも少数派であるアルファとベータの間には、会った瞬間に本能的に惹かれ合う「運命の番」という特別な繋がりが存在します。
『さよならアルファ』で恋に落ちるのは高校生の千夏(ちか)と小学生の遙(はるか)。自分がアルファだと信じて生きてきた千夏。しかし「運命の番」である遥と出会い、自身がオメガであることを認めざるを得なくなります。しかし遥はまだなんと7歳! 「運命の番」とはいえ、そんな幼い遥に愛されたいなんて、さすがに犯罪です。千夏は溢れる想いを理性と大量の抑制剤でねじ伏せ続けてますが、とうとう無理が利かなくなり倒れてしまいます。
近くにいたら千夏を苦しめることになってしまうと、自分の意思で大人になるまで千夏と物理的に距離を置くことを決め、母と共に遠くに住む祖父母の家に身を寄せることにする遙。なんて聡い子なんだろうと感心しちゃいます。同じ9歳差でも2人の出会いがもっと後だったら全然違う展開になったはず。早すぎる運命の出会いって残酷ですね。世界で一番大好きだと書かれた遥の手紙に涙を流し千夏は別れを受け入れます。
そして11年後、高校の卒業式を終えてすぐに千夏の元へと向かった遥。そんな18歳の青年となった遥が再会した千夏の手を取り、笑顔で口にするセリフがこちらです‼︎
毎日千夏さんのことが好きだって
千夏さんのことを思いながら生きてきたんだよ
11年もの長い時間、遥はずっと千夏のことだけを想い続けていたんですよ。「生きてきた」と言う言葉のチョイスが素晴らしいと思いませんか? ただ日々を過ごしてきたんじゃないんです。遥は千夏への想いと共に、11年という月日を生きてきたんですよ。この一言で千夏の存在が遥にとってどれほど大きなものなのかということが強く強く伝わってきますよね。絶対に放さない、他の人なんて目に入らない、どこまでも一途な想い‼︎ これでこそ「運命の番」だと思わせてくれます。
ピュアだからこその強さ
男子高校生の恋を描いた鈴丸みんた先生の『ゴールデンスパークル』。この作品で恋に落ちるのは、あまりにも奥手すぎる日葵(ひまり)と中学では女の子と付き合っては別れてを繰り返していた楽(がく)。
この日葵くんが実にピュアなんですよ。意に反してモテてしまうため、人避けのつもりで派手な金髪にしているだけで、クラスメイトたちの猥談に飛び交う言葉の意味がわからず、エロ本やAVは「18歳未満は閲覧禁止されてるだろ」と言い出し、夢精を病気かもしれないと悩んでいるなんて! 汚れを知らぬままでいてほしい反面、このままで大丈夫なのかと心配にもなってしまいます。そんな奥手ゆえにひとりで悩んでいた日葵を馬鹿にすることなく、楽が優しくオナニーの手ほどきをしてあげるんです。
背も高いし手もでかいし髪型イケてるし一緒にいて楽しいし、嫌がらずに悩みの解決の仕方を教えてくれたし、しかもそれは気持ちイイことだったし。いい友達ができたと思っていたはずなのに、共に過ごすうちに楽に対する日葵の気持ちは友達の域をはみ出していきます。それは楽も一緒でした。
互いに友達以上の想いを抱いてしまっていることを日葵よりも先に自覚してしまった楽は、今までのことはただの冗談だと嘘をつき、日葵を冷たく突き放そうとします。そんな楽の言葉は嘘だと分かっていながらも、溢れ出す涙。ポロポロと大粒の涙を流しながら、日葵が口にする言葉が反則級に可愛いんですよ。
どうしたら仲直りしてくれんの?
マジになんねえようにしたらいい…?
その言葉に堪え切れなくなり、楽は日葵を抱きしめくちづけます。これからも2人が一緒にいるために、自分に何ができるのか、自分がどうしたらいいのか、それだけをひたすらに考えている日葵に楽は胸を打たれたんですよね。このピュアだからこその日葵の強い想いに、応えずにはいられなくなるよなって納得してしまいます。
命を賭した恋を
烏天狗の男娼である翠蓮(すいれん)と人間の男性暁人(あきと)の恋を描いた朔ヒロ先生の『明烏夢恋唄』。
人間の子供にいじめられていた豆腐小僧を助けたことから、妖怪たちの遊廓「かすみ楼」の割符を手に入れた暁人。そうとは知らずに足を踏み入れ、珍しい人間の客だとたちまち囲まれてしまいます。慌てて帰ろうとする暁人でしたが、しつこい客に絡まれている翠蓮を助けようと思わず割符を使います。これが2人の運命の出会いでした。
男娼と客、そして烏天狗と人間。住む世界があまりにも違う2人。それでも心は寄り添い重なり合っていきます。一度でいいから商売などではなく自分が選んだ相手に抱かれてみたいと願う翠蓮。彼はかすみ楼を全焼させた罰として、百の睡蓮の花を咲かせるまでを年季に男娼として奉公することになったのです。その睡蓮を咲かせるのは、客から吸い上げた生気。そのことを知っても、暁人の気持ちが変わることはありません。
お前が要るなら
おれをやる
きっぱりと告げる暁人。もちろん、これは翠蓮に自分の「生気」をやるってことですよね。もしも生気を全て吸い取られてしまえば死んでしまいます。それでも暁人は自分の命を翠蓮にであれば差し出しても構わないという強い想いを伝えたんです。
遊廓はかりそめの恋の夢を味わうための場所。それを分かって客は通ってきます。翠蓮にとってもそこでの出会いはかりそめのもの。互いに望み望まれて暁人に抱かれた夜を一夜限りの夢だと、翠蓮は胸にしまいこもむつもりでいました。しかし割符を使い切ってしまっても、自分の血を引き換えにしてでも翠蓮に会おうとする暁人。そんな真摯な暁人の想いを受け止めた翠蓮は、自らも命をかけた決意をすることになるのです。
まだまだ他にも印象的なセリフの作品はたくさんありますので、また機会を作ってまとめ語りをしたいなぁと思います。
ピュアなBLについてもまとめ語りをしています。興味を持ってくださった方はこちらからどうぞ。