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『時光代理人 -LINK CLICK-』について語りたい③深掘り考察編

皆さんは『時光代理人 -LINK CLICK-』という作品をご存知でしょうか。李豪凌(リー・ハオリン)監督・脚本の2021年4月から配信された中国のオリジナルWebアニメで、日本では2022年1月からTOKYO MXなどで豊永利行さんと櫻井孝宏さん主演による日本語吹替版が放送されていました。

この『時光代理人 -LINK CLICK-』は中国ではbilibili動画で総再生回数1.6億回を突破し、ミニキャラによるショートアニメ『時光照相館的日常』の配信が定期的に行われていますし、第2期の制作が決定しているだけでなく、実写ドラマ化(!)もされることになっているという人気作。第2期の日本上陸が今から待ち遠しくて仕方ありません。

と書いていましたが、『時光代理人 -LINK CLICK-』の第2期の日本展開が決定! それに先駆けてフジテレビの新しい深夜アニメ枠“B8station”で第1期の再放送が2023年10月より始まっています!

前回はこの『時光代理人 -LINK CLICK-』のストーリーについて語りましたが今回はストーリーを深掘りした考察を語っていきたいと思います。

ヒカル(陸光)とトキ(程小時)

 

ヒカルとトキの能力

トキ(程小時)とヒカル(陸光)が経営する古い写真館に持ち込まれる数々の依頼。ヒカルが写真から過去を読み取り、トキが過去にダイブすることで依頼を実行していく、というのが『時光代理人 -LINK CLICK-』のストーリー。それらの依頼は、写真館の大家の娘であるリンが依頼人とトキたちの仲介役となり持ち込んでいるものです。

しかしリンは、過去にまつわる依頼だということは当然わかっていますが、彼らがどのように依頼を実行しているのか知りません。つまりリンはトキとヒカルの能力を知らないんですよね。頭脳派のヒカルが指示を出してトキと調査を行っているのかなぁ、くらいに思っているような感じ。それってけっこう不思議な状況ですよね。

トキが経営しているのは、古めかしい昔ながらの写真館。両親との唯一の繋がりの場所とはいえ、携帯で手軽に誰でも写真を撮り加工までできてしまう今、商売としてやっていくのは大変そう。実際、大家であるリンの親の好意が無ければ、トキはここを出ていかなければなりません。後から加わりトキと共に写真館を経営するようになったヒカルは、収入を増やすために写真館とは別に仕事をすることを提案。それが彼らの能力を使いミッションを遂行するというものだったでのはないでしょうか。

幼い頃からずっと一緒に過ごしてきたリンが能力について知らないことから、トキは以前から過去の世界にダイブする能力を持っているわけではなかった、もしくは能力は持っていてもダイブすることができなかったのだと思われます。じゃあどうやってトキは過去の世界にダイブする能力を使えるようになったのか。このことについて鍵を握っているのがヒカルであることは間違いないと思うんです。ヒカルがトキに能力を授けたか、そうでなければまだ能力が発現していなかったトキをヒカルが覚醒させたのではないでしょうか。互いの能力で補完し合う必要がありますし、私としてはヒカルがトキに能力を分け与えたということだったらうれしいなぁ〜と思っています。

しかし、他人の意識の中に入り込む能力を持つのはトキとヒカルだけではないということが明示されましたよね。しかもその能力が殺人のために使われています。第2期では連続殺人の真の犯人との対決と共に、トキとヒカルが持つ能力について明らかにされていくのではないかなと期待しています。

 

トキの成長

この『時光代理人 -LINK CLICK-』の物語の中で、ヒカルが「分岐点」という言葉を口にします。「過去を問うな 未来を聞くな」とトキは繰り返しヒカルから釘を刺されていますよね。過去の出来事の中で何が大きく現在にまで関わることなのか、加えられた改変によって現在がどう変わってしまうのか、ヒカルにも判断できないということなのだろうと思われます。さすがにヒカルもそこまで万能ではないわけですね。だからこそヒカルは、トキを信頼しつつも口うるさく釘を刺すんです。

現在と過去、時間を行き来するタイムリープものにはつきものですし、こちらも「意図せぬ改変が起きるぞ〜」と思いながら見ていますが、前提として過去の改変はタブー。なのにトキは不用意にその時に起こったことに感情のまま不用意に介入し、改変してしまうんですよ。物語序盤は後先考えず行動するトキに本当にハラハラさせられてしまいますよね。何も知らずに依頼を完遂したと意気揚々としているトキと全てを知っていながらそれを胸にしまい込むヒカルが対照的ですし、このことによって、このままで済むわけはないという緊張感が物語に漂うことにもなっています。

もちろん、トキは最後までずっとこの調子のままいるわけではありません。彼は引き受けた依頼のため繰り返し過去の世界に戻り、何人もの人の経験を共有して自分とは違う人生を知っていきます。またヒカルの指示がなければ過去の世界で何をしていいのか判断できない自分にも直面し、悔しい思いもすることになります。そしてトキは自分の行動によってシャンシャンを事件に巻き込んでしまっただけでなく、エマまでもが殺人犯に殺されることとなったのだと知り、ここで初めて本当の意味で過去の改変に恐怖を感じるんですよね。

過去に戻るだけでは自分は何もできないこと、そして考えもなしに過去を改変することが及ぼす影響を知ったトキ。彼はヒカルからの指示をただ待つのではなく、自ら作戦を提案。過去にダイブしている自分の行動と辻褄を合わせつつも連続殺人犯にゲームを持ちかけてターゲットを自分に変えさせ、思惑通りに殺人犯を捕まえることに成功します。トキとヒカルによる連携プレー。この時こそ、トキとヒカルが対等なバディになった瞬間なんです。

物語序盤はミッションを遂行するには感受性が強すぎて幼い印象だったトキでしたが、終盤の自らの危険を厭わず犯人を追い詰める計画を冷静に実行する彼の姿には頼もしさを感じます。この『時光代理人 -LINK CLICK-』の物語は、様々な依頼を通してトキが成長していく物語でもあるんです。

 

変えられないもの

依頼のためにトキが他人の意識にリンクして自分のこととして追体験を重ねていく内容は、仕事に追い詰められ孤独に苛まれたりなど辛いことばかりでした。しかしそこには必ず救いが存在していました。それは人の心の結びつき。幼い頃に両親がいなくなってしまったトキにとって、離れていても、死に直面しても、それでもなお子どもを思う親の心を感じられたことは希望にもなったのではないでしょうか。

幼い頃のトキはトゲトゲしく自分以外に友だちができなくて心配していたと、リンが回想しています。両親が失踪し、突然1人きりで生きていかなければならなかったトキは、孤独に負けないためにも必要以上に肩肘張っていたのではないかと思うんですよ。

そんなトキの心を解きほぐしてくれたのが、ヒカルの存在でした。ヒカルって近づきすぎず遠ざからず、ずっと変わらずに静かにそこにいてくれそうじゃないですか。朝、目を覚ませばヒカルがいつもと同じようにいてくれる、それってトキにとってすごく安心できることだったのではないでしょうか。一番近くにいてくれ共に写真館を支えてくれたヒカルは、トキにとって両親に代わる大切な存在となりました。まさしくヒカルはトキの心を明るく照らす「光をくれる人」だったのです。

物語終盤、トキは友人を狙う連続殺人犯を追い詰めて捕らえることに成功します。しかしそれと引き換えのように、殺人犯を操っていた真犯人によって意識を乗っ取られたリンに腹部を刺されてヒカルが重傷を負ってしまいます。あまりにも衝撃的すぎて理解が追いつかないままのラストに呆然としました。

第2期のPVはこの場面の続きから始まります。

 

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操られ、ヒカルのみならず自分自身にもナイフを突き立てようとするリン。リンを庇って警察に捕まってしまうトキ。負傷したヒカルの容体は深刻で、心電図の数値が0になったところでタイトルが現れるという演出がなされ、もはや不穏な要素しか見当たりません。

しかしなぜ真犯人は、直接トキを襲わずにヒカルを狙ったのでしょうか。私は真犯人がトキに興味を持ったからだと思うんですよね。友人を狙う殺人犯を捕らえるため、ゲームを持ちかけたトキ。自分にターゲットを変えさせて見事作戦通りに殺人犯を捕らえることに成功しましたが、これより真犯人はトキが過去と現在を行き来し他人を操ることができる能力を持っていると知ることになります。大事な手駒だった殺人犯を奪われてしまった真犯人は、特殊な能力を持つ者同士として、トキから持ちかけられたゲームに本気で乗ることに決めたのではないでしょうか。自分がやられたのと同じように能力を使ってトキを追い詰めていく、その最初の一手こそがリンにヒカルを襲わせること、つまりトキにとっての「光」を奪うことだったのだと思うんです。

たびたびヒカルがトキに注意をしていたように、過去の「分岐点」に改変を加えてしまえば現在の状況は変化してしまいますが、ひとつだけどうあっても変わらないことがあります。それは人の「死」。

例えば第1話ではエマの「分岐点」をトキが改変したがために、彼女は殺人犯に殺されてしまうことになってしまいましたよね。トキが2度目の過去への介入をしたことで、エマは今度はかろうじて殺人犯から逃げ出すことに成功しました。しかしその後、トキが必死に説得するも虚しく彼女は橋から飛び降りてしまいます。エマが遭う事故や事件を避けることはできても、彼女を死なないようにすることはできなかったんです。つまり過去に起きた人の死は決して覆すことはできないんですよ。

それはつまり、重傷を負ったヒカルがもしも助からなかったとしたら、トキは過去に戻って何をしたとしても助けることはできないということになります。どう見ても命の危機にあるヒカル。今までずっとヒカルに助けられてきたトキ。今度はトキがヒカルを救う番なのです。

 

第2期はどうなる?

この『時光代理人 -LINK CLICK-』の第2期が日本でいつ放映されるかはまだ未定ですが、中国での配信が終わった後に日本版が制作されると考えると、観ることができるのは早くても来年2023年になってからでしょう。どんな展開になっていくのかとっても気になるわけですが、中国の『時光代理人 -LINK CLICK-』の公式ツイッターアカウントがちょっと気になる画像を投稿してるんですよ。

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なんか、トキ、ヒカル、リンが謎に制服なんですよね。トキがヒカルと出会ったのは学生の時。ヒカルはトキのパートナーでありながら、年齢など明らかにされていない事柄もあり謎の多い人物でもあります。もしかすると、トキとヒカルの過去を辿る展開になっていくのかも? ということで、ソワソワしながら第2期の放映を待ちたいと思っています。

 

2022/11/03追記

『時光代理人 -LINK CLICK-』の第2期のPVとポスターが2022年10月29日に公開されましたね! 不穏! 不穏ですよ! ポスターのトキの沈んだ表情がなんとも言えず、リンと共に黒づくめの服を着ているあたりも不安を掻き立てられてしまいます。

 

PVはこちら。

 

どんな展開になるんだろう……。待ち遠しさが募ってしまいます。早く日本でも放映してほしい!

 

2023/9/30追記

2023年9月26日に『時光代理人 -LINK CLICK-』の2期の日本展開とフジテレビの新しい深夜アニメ枠“B8station”で第1期の再放送が決定と発表がありました! やったーーーーーーーー! 

 

しかも、本国では第3期となる「営都編」のポスターとPVが! 

 

陸光と程小時にまだまだ会えるんです! 物語は続きます! うれしすぎる! もっとたくさんの方に『時光代理人 -LINK CLICK-』を知って観てもらって、彼らを好きになってもらえる日が待ち遠しいです!

 

次回は『時光代理人 -LINK CLICK-』の音楽と映像、そして毎月配信されているちびキャラになったトキたちのショートアニメ「时光照相馆的日常」などについて語っていきたいと思います。

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