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『Buddy Daddies バディ・ダディズ』について語りたい ①キャラクター語り編

皆さんは『Baddy Daddies バディ・ダディズ』(以下『バディ・ダディズ』)という作品をご存知ですか? この作品は2023年1月からTOKYO MXなどで放映されていたP.A.WORKS制作のオリジナルアニメです。主演は豊永利行さんと内山昂輝さん。タイトルにもあるように、バディでもありダディでもある2人を演じられています。

2022年の秋に告知を見てからずっと放映開始を心待ちにし、放映が始まってからは毎週金曜日の夜0時からリアルタイムで視聴した後に録画したのを見直してから寝るというサイクルで過ごし、最終話を見届けた後はロス状態に陥るほど大好きで大切な作品となりました。

この作品を見ないでいるなんてもったいないぞ! ということで、まず今回は『バディ・ダディズ』に登場するキャラたちについて語っていきたいと思います。

PIECE OF CAKE

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  • 豊永利行
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一騎パパとミリちゃん

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『バディ・ダディズ』との出会い

『バディ・ダディズ』という作品を知ったのは、2022年の10月にTwitterで「豊永利行さんと内山昂輝さん主演のオリジナルアニメが放映決定!」と回ってきたティザービジュアルを目にしたことが最初でした。

 


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ホーンセクションがカッコいい軽快な劇伴に合わせて切り替わる、本作のメインキャラクターである「愛から逃げてきた男」来栖一騎(くるす・かずき)と「愛を知らない男」諏訪零(すわ・れい)の2人の殺し屋稼業の男たちと幼い少女海坂ミリ(うなさか・みり)ちゃんのイラストはなかなか可愛い感じ。この第1弾のティザービジュアルに添えてあるキャッチは「殺し屋バディ、最強のターゲットは……ちびっこ⁉︎」。

P.A.WORKS制作の「新作オリジナルお仕事アニメ」とあることから、一騎と零がターゲットを仕留める殺し屋としての活躍がメインに描かれていくのかもしれないし、「ダディズ」とタイトルにあることから、ボスの娘を預かったりすることになるのかもしれないし。この映像だけでは、まだ主要キャラ3人の関係性がよく分かりません。

とはいえ、原作の無いオリジナル作品なので徐々にどんな作品か詳細が公表されていくのはこれから。今までオリジナルアニメの情報の少なさから見送ってしまい、後からこんなに面白いものをなぜ見逃したのかと大反省会を何度も開いてきた身ですから、もう軽率な判断を繰り返すつもりはありません。エナミカツミさん原案のキャラクターは魅力的ですし、それに何より主役の2人を豊永利行さんと内山昂輝さんが演じられるというのは、自分にとってめちゃくちゃポイント高。見るしかないじゃないですか。

だって好きな声優さんが主役をやっている作品を見て後悔したことがありますか? いや無い!

そして続いて公開された『バディ・ダディズ』の第1弾PVはこちら。

 


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第1弾キービジュアルではより躍動感のあるイラストになりましたね。劇伴がなかなか大人っぽい感じだったし、殺しのミッションをオシャレにこなす的な感じなのかもとも思っていましたが、どうやらそうではなさそう。

映像の中で、「今日の仕事は絶対外せないって言ってるだろ」とふてくされた感じの零に対して一騎が「仕事と子ども、どっちが大事だと思ってんだよ!」と強い口調で言い返していますし、「子育て奮闘記⁉︎」なんて文字も出てきました。そしてキャッチコピーは「殺し屋バディ 今日から娘、育てます」。これでいよいよストーリーがはっきりしてきましたよね。

いいですか? 一騎と零とミリちゃんの関係は、「親子」なんです。つまり、こういうことですよ。

豊永利行さんと! 内山昂輝さんが! 2人で! 子育てするんですよ! 豊永利行さんと内山昂輝さんが! 子育てを!

これは見たいじゃないですか。いや、もはや見たいしかないじゃないですか!

ソワソワしながら年を越して、いよいよ迎えた放映開始。毎週金曜日の夜が待ち遠しくて仕方なくなっていました。

 

『バディ・ダディズ』はどんな作品?

殺し屋としてバディを組む一騎と零のもとに現れた幼い少女ミリの3人が、共に過ごしながら少しずつ本当の家族になっていくまでを描いたこの作品。そんな作品にありがちな、泣かせよう泣かせようとするお涙ちょうだいな展開とか感動を強要されるような演出は無く、自然と一騎たち3人を応援したくなりますし、楽しい気持ちになれる非常に心地のよい物語なんです。

話数を重ねていくにつれて、最初はただの寄せ集めに過ぎなかった一騎、零、ミリちゃんの3人が、血の繋がり以上の深く強い心が結びつきを得ていく様子を見守れること自体がうれしくて、最終話を見届けるまでに何度も一騎たち3人をまとめてハグしたい気持ちになりました。

ということで、主要なキャラクターたちの紹介を。

 

主要なキャラクター

来栖一騎(くるす・かずき)

職業、殺し屋。バディを組んでいる零のマンションに同居しています。親の顔を知らず、素行不良な少年時代を過ごしてきたと語っており、詳しくは語られませんが、その流れで裏組織の一員となったのだろうと思われます。以前は結婚をしていましたが、自分の目の前で妻とお腹の中の子どもが車の爆発に巻き込まれて亡くなるという非常に辛い過去があります。

一騎は仕事とはいえターゲットであったミリの父親を殺してしまったことやミリが自分を父親と勘違いしてすっかり懐いてしまったことなどから、父親を亡くし母親にも捨てられたミリの面倒を見ることを決め、血のつながった親子以上に親バカぶりを見せるように。

ミリちゃんの面倒を見て家事もしてと、(本人的には不本意かもしれませんが)いわゆる主婦的な役割をこなしている一騎のセリフには心底共感するものが多くて、話数が進むにつれてもはや一騎とは同志のような気持ちになってました。異性のキャラクターでここまでシンパシーを感じるキャラクターは、なかなかいないなと思ってます。

ミリちゃんと暮らすと決めてからの一騎は、積極的に「親らしく」振る舞いますし、非常に楽しそうなんですよね。家族というものに縁が無かった一騎にとって、零とミリちゃんのと3人での生活って、心から欲しいと願い続けていた「普通の家族」に限りなく近いものだったんじゃないかと思います。だからこそ一騎は、ミリちゃんのためを思って自分がどうするべきか、激しく葛藤することになっていきます。

行き場の無いミリを放っておけなくなってしまったり、生活能力のまったく無い零を見かねて家事全般を担当するようになっていたりと、ドライになりきれず手を差し伸べてしまう一騎を、豊永利行さんが温かく優しい声で演じられています。

 

諏訪零(すわ・れい)

殺し屋として一騎とバディを組んでいる零。父親を「ボス」と呼ぶように命じられ、幼い頃から殺し屋としてのみ育てられてきたため、殺しの腕は立ちますが生活能力は皆無。そのため、家事全般を同居している一騎に任せて自分はゲームばかり。普段は長めの髪を下ろしてモッサリしていますが、仕事に臨む時は髪を結んで結構ガッツリ側頭部を刈り上げているのと目つきの鋭さでかなり印象が変化します。

表情豊かな一騎とは対照的に、零は感情の起伏がかなり少なめ。ミリに今までの生活パターンを崩されながらも、イラついたり怒ったりせずマイペースなまま。ミリちゃんを邪険にしないし優しいように見えるのですが、あまり他人に関心がないだけなんですよね。

零は父から組織の後継者として育てられ、普通の家族がどんなものかということを知る機会を失ったまま大人になってしまっています。そのため、一騎は早くから「親」としてミリの世話に積極的に動きますが、零は最初のうちはほぼ「大きな子供」のようで、本当に少しずつじっくりと「親の自覚」を持つようになっていきます。物語の終盤で、「家族」である一騎とミリを守ために零が取った行動には胸が熱くなりました。そのドラマチックな内面の変化を内山昂輝さんが繊細に演じられています。

 

海坂ミリ(うなさか・みり)

4歳の女の子。実はマフィアのボスが愛人に産ませた子です。一騎をパパだと勘違いして懐いてしまいますが、彼女の実の父親は一騎と零にターゲットとして殺されてしまっています。父親を殺され母親に捨てられて行き場が無くなり一騎と零と共に暮らすようになりましたが、ミリちゃん本人はそのことを理解していません。

とても明るくて天真爛漫。とにかく可愛くて、ミリちゃんに「一騎パパ」「零パパ」と呼ばれて懐かれたら、絆されずにはいられないなぁと思います。演じられている木野日菜さん子どもの屈託の無さの再現度がかなりリアルで、実は本当に4歳児なのでは⁉︎ と思いたくなるほど。とにかくめちゃくちゃ癒されます。たぶん木野さんでなかったら、ここまでミリちゃんを可愛いと思えていなかったんじゃないかと思います

 

一騎たちを取り巻く人たち

九棋久太郎(くぎ・きゅうたろう)

表向きには喫茶店のマスターをしながら、裏組織の仕事を一騎たちに仲介しています。一騎たちをたしなめたりしつつも、見守ってくれている感じが良いです。お声は森川智之さん

 

海坂美咲(うなさか・みさき)

ミリの母親。マフィアのボスの愛人からシングルマザーに。そのため歌手になる夢を諦めざるを得ず、ミリに対して愛情よりも憎しみが勝って育児放棄状態になってしまっていました。

 

羽生杏奈(はにゅう・あんな)

ミリの通うあおぞら保育園の保育士。育児に慣れない一騎たちをおおらかに見守ってくれています。ピアノが苦手で、弾く時は鬼の形相に。ミリちゃんに父親が2人いたり、途中母親も現れたりしても一切動じずニコニコと対応。それだけでも彼女は信頼できるなと思えます。

 

諏訪重毅(すわ・しげき)

組織のボスであり零の父親。幼い頃から息子である零を殺し屋として育ててきました。組織の後継者である零が一騎やミリと共に暮らしていることを良しとせず、小木埜に2人を殺させようとします。

 

小木埜了(おぎの・りょう)

零の父に命じられ、一騎とミリを狙う殺し屋。一騎の妻子の死亡事故に関係する因縁の相手ですが、一騎はそのことは知りません。依頼を求め転々としていて、久太郎とも知り合いの様子。ターゲットとなった人間の最期の言葉を記録してコレクションしている、だいぶ危ない人です。

 

『SPY×FAMILY』と比べられたりもしてたけど

疑似家族ということや、主人公が殺し屋だったり子どもが女の子だったりすることからなのか、Twitterでは『バディ・ダディズ』と『SPY×FAMILY』とを比較している感想ツイも見られました。『SPY×FAMILY』のパクリみたいだとか、ミリちゃんはアーニャに比べてうるさいし大人の言うこと聞かないし可愛く感じられないとか。

パクリかどうかについて言うと、全然同意はできません。『SPY×FAMILY』は私も好きで単行本を集めてますしアニメも見てますが、まったく似てないのに不思議だなぁ〜という感じです。

『SPY×FAMILY』では、スパイの黄昏がミッション遂行の一環として、ヨルとアーニャと疑似家族に。黄昏にとって疑似家族を続けること自体がミッションのうちですし、ヨルにもアーニャにも家族でいることにそれぞれメリットがあってそれを選択しています。

でも『バディ・ダディズ』は、確かに一騎と零はヨルと同じ殺し屋ではありますが、彼らがミリと暮らすようになるのはミッションのためなどではなく、むしろとばっちりにも近い感じ。彼らにミリと一緒にいることのメリットなど無く、むしろ自由に動き回れなくなり仕事に支障をきたしもします。一騎は自分たち(零も含む)でミリを育てると決意してますが、零は自分が子育てに関わるとは思ってもいない状態で3人の生活が始まり,子育てに奮闘することになります。

似ているところをあえて挙げるとするなら、どちらの作品も一緒に過ごしていくうちに「家族」としての絆が生まれていくところでしょう。

続いて「アーニャに比べてミリちゃんが可愛くない」という点については、ちょっと理解できなくもないなとは思いました。ミリちゃんがうるさいとかイライラするなどというのは、多分学生さんなど若い方の感想なんじゃないかと思うんですよね。身近に小さな子どもがいる経験があるかどうかで、かなりミリちゃんに感じることが違う気がします。

『SPY×FAMILY』のアーニャは「お出かけ」を「おでけけ」と言ったりする舌足らずな言葉遣いをはじめ、何をやっても可愛くてほっこりします。しかし彼女は超能力者で、大人たちの考えていることを読み取り、それに応えるような行動もしています。

一方『バディ・ダディズ』のミリちゃんは、寝ている零のお腹の上に容赦なくジャンプで乗っかったり、「キャー」と耳がキーンとなってしまいそうな高い声を出したり、女の子なのにガニ股で寝ちゃっていたりと、子供らしさが爆発。アーニャが「大人が頭の中で考えた子ども像」だとすると、ミリちゃんは「大人が身をもって実感した子どもの姿」だと感じます。たぶんお子さんがいる方が見たら、ほとんどの方はミリちゃんを可愛いと感じるのではないでしょうか。

ミリちゃんの描写が現実の4歳児に近い分だけ、一騎や零の振り回されっぷりもなかなかリアル。次回は『バディ・ダディズ』のストーリーについて語りたいと思います。

buddy-animeproject.com