観て聴いて読んで書く

マンガ、アニメ、ゲームなど好きだと思ったものについて無節操に書き綴ります

お仕事マンガなBL作品について語りたい!

サラリーマン同士の恋を描いたBL作品って人気がありますよね。スーツ姿が素敵ですし、同じ職場の人たちにバレないように気遣ったり、他の同僚と親しそうにする姿にショックを受けたりなど、読んでいるこちらもソワソワしてしまう要素がたくさんのシチュエーションです。

しかし世の中には会社で働くサラリーマンだけでなく、いろんな職業に就き働いている人がたくさんいます。恋もいろいろ、お仕事もいろいろ。ということで、今回はさまざまな職業の裏側を覗き見ることもできちゃうBL作品について語りたいと思います。

性描写がある作品なので、未成年の方はごめんなさい。大人の方だけこの先をお読みくださいね。

憧れの先輩の秘密

まず語りたいのは、晴川シンタ先生『先輩さまの言うとおり』

大学時代に広告研究サークルで一緒だった憧れの伊東先輩を追いかけて、同じデザイン事務所に就職した勇太。勇太の気持ちは素直過ぎてあっという間に伊東先輩との距離は縮まりベッドイン!

憧れの先輩に想いが通じて舞い上がってしまう勇太。しかし彼は、伊東先輩のクローゼットの中に、たくさんの男子高校生の制服があるのを見つけてしまいます。実は伊東先輩、男子高校生の制服を見ると興奮し、性欲とアイデアが湧いてくるという性癖だったんです。

伊東先輩と勇太が働いているのは広告のデザイン事務所です。WebサイトやCM、ポスターといった華々しいものを想像しがちですが、広告デザインと言っても実は分野はさまざま。彼らがいるのは、セールスプロモーション(=SP)広告を手掛けている事務所。そのSPとは何ぞやというと、電車など交通機関に掲示する広告やお店のPOP、フリーペーパーやイベントスペースなんかも含まれます。

伊東先輩が事務所の仕事内容を説明するため、勇太を家電量販店に連れて行く場面があります。商品のイメージを、より具体的なものとさせ購買意欲を高めるPOPや展示台などお店に来たお客さんの背中を最後のひと押しする販促物を制作しているため、お店のあらゆる所に手がけたデザインが溢れているんです。驚く勇太に、この分野のデザインの面白さを説明していく伊東先輩。どんな分野でも、その道のプロフェッショナルがいるんですよね。

デザイン事務所というとオシャレなイメージで描かれがちですが、あえてニッチな分野を取り上げているところが、この作品の面白いところ。実は作者の晴川シンタ先生ご自身がSP広告業界で働いていたそうです。

ただ先輩を追いかけていただけだった勇太でしたが、伊東先輩と一緒にコンペに参加し、通常業務に加えてコンペの作品を制作するという忙しくも充実した時間を経験したことで、SP広告の仕事の楽しさを知り成長していきます。一生懸命な勇太が可愛いんですが、伊東先輩の溺愛っぷりも楽しい作品です。

 

甘い糸で結ばれて

次に語りたい作品は、芹澤知先生『グレープフルーツムーン』。この作品の舞台はケーキ屋さん。パティシエとケーキ屋でアルバイトをしている大学生の恋が描かれます。

ケーキが大好きな八木谷香月(やきがや かづき)は、リニューアルオープンした昔馴染みのケーキ屋フジムラでアルバイトをすることに。しかし、子どもの頃から知っているパティシエさんとは全く違う人が厨房でケーキを作っていることに驚きます。

実はパティシエであったオーナーの兄が亡くなって店を閉めようかとも考えていたところにパティシエの堺洋一郎(さかい よういちろう)が現れて店の味を引き継いでくれることになり、リニューアルオープンしたのです。

洋一郎の作ったケーキは先代の味を完璧に再現しており、香月は洋一郎の腕の確かさに心を開き、心酔するようになっていきます。

この店に来る前、五つ星ホテルの帝東ホテルで働いていた洋一郎。しかし洋一郎とライバル関係にあった二階堂が洋一郎のケーキのレシピを盗んで独立したという噂が。世界的なパティシエになった二階堂に対し、洋一郎は小さな町のケーキ屋の雇われパティシエ。このことにモヤモヤした香月は、洋一郎のケーキをもっと多くの人に知ってもらいたい! でと行動を開始していきます。

洋一郎は二階堂も認める才能を持つパティシエ。でも全然欲がないんですよ。そもそも彼がパティシエになったのは兄を喜ばせたいという思いから。それが叶ってしまった後に、何をモチベーションにして仕事をしていけばいいのかわからなくなってしまい、ホテルを辞めてしまったんです。洋一郎本人も言っていますが、燃え尽きちゃったんですよね。働き続けるって大変だよなーって思います。創り出す職業の人は特に。

香月のおかげで、再びパティシエとしての仕事の楽しさを思い出した洋一郎。刺激し合い、補い合い、共に同じ方向に向かって歩いていける関係を築いていく洋一郎と香月。そんな甘い糸で結ばれた関係、素敵だなーと思います。

 

相方と漫才も恋も

次に語りたい作品は、黒田くろた先生『足跡アドリブラバー』。この作品では漫才師を目指してお笑い養成所に通う2人が、偶然コンビを組んだことから始まる恋を描いています。

お笑い養成所に入った初日、ネタ見せしたいと手をあげた朝陽は、同時に手を上げた水瀬と先生に言われるままに一本漫才をやることに。しかし初対面でネタの好みも合わない即席コンビの2人は、全てアドリブで乗り切ることを決めます。グダグダになったものの、お互いにしっくり来るものを感じた朝陽と水瀬は、コンビを組んで活動することを決めます。

明るくてコロコロと表情が変わる朝陽とイケメンでストイックな水瀬。凸凹コンビの2人は舞台の外ではすぐにケンカばかりに。しかしお互いがお笑いを目指したキッカケを語り合って初心を思い出し、決意を新たに盛り上がった2人はキスをしてしまい……。

お笑い番組を見ていると芸人さんたちの、元は別の人とコンビを組んでいたとか、今は別々だが実は昔コンビを組んでいたという話をよく聞きます。お笑いの相方選びってこれから先の自分の人生が掛かっているのですから、結婚相手を選ぶことに似てるなと思います。真剣にお笑いをやっているからこそ、生涯無二の相手を見つけたいと一生懸命なんですよね。

この作品の中でも、朝陽がボケを探している人に声をかけられたり、水瀬とコンビを組む予定だった相手から解散しろと迫られたりする場面があります。朝陽は「水瀬は絶対渡さない」と、そして水瀬も「朝陽以外と組むつもりはない」と、それぞれキッパリ言い切ります。お笑いの相方として以上の想いをお互いに抱いていることに気づいた2人は、公私ともに本当のパートナーの関係になっていくんです。

続編では養成所を卒業した水瀬と朝陽が、アパートに一緒に住んでネタを考え、それぞれバイトも掛け持ちしつつ漫才をしてと、まさに駆け出しの芸人さんな感じに。お笑いの相方としても恋人としても、ずっと一緒にいたいしずっと一緒にいて欲しいと思うからこそ湧き上がってしまう不安を、乗り越えていく2人が描かれていきます。

漫才も恋も、2人でなければできませんからね。水瀬と朝陽には、ずーっと仲良く「おじいちゃんになるまで」一緒に漫才をしていって欲しいなと思います。