皆さんは『時光代理人 -LINK CLICK-』英都篇をご覧になりましたか? この作品は李豪凌(リー・ハオリン)監督・脚本の中国のオリジナルWebアニメシリーズで、日本ではまず2022年1月に1期が、2024年4月より2期が放送がされ、英都篇は2026年2月から放送されていました。
日本語吹き替えは、主役の程小時(チョン・シャオシー)豊永利行さん、陸光(ルー・グアン)櫻井孝宏さん。そのほか、劉梟(リュウ・シャオ)花江夏樹さん、英都篇から登場するVein(ヴェイン)内田雄馬さん、夏斐(シア・フェイ)榎木淳弥さん、王青(ワン・チン)沢城みゆきさんが演じられています。
2期の最終話のラストで明らかになった衝撃の事実。異国の英都を舞台にした過去の話ということで、物語がどう展開していくのかずっと気になっていたんですよね。
ということで、今回は『時光代理人 -LINK CLICK-』英都篇(以下、英都篇)のストーリーと音楽について考察を交えながら語っていきたいと思います。

ネタバレを含みますのでネタバレ苦手な方は注意してお読みください。
舞台は過去へ
『時光代理人 -LINK CLICK-』の1期は、程小時と陸光が写真を通して過去に戻れる能力を活かし、持ち込まれる数々の依頼を実行していくストーリーでした。続く2期は、人を操って殺人を犯す能力者を警察とともに追うというストーリーに。そのラストでは、程小時が殺されてしまうのを阻止するために、陸光が時を遡っていたという衝撃の事実が明らかにされました。
今回放映された英都篇は過去かつ英都が舞台になり話数が少なめだと聞いていたので、番外編的なさらっとした物語になるのかと思っていたんですが、身震いするほど濃厚な物語でした。今回より制作スタジオが変わったということで、絵柄が少し柔らかい感じに変わったなと思います。
まずティザーPVはこちら。
そしてメインPVがこちら。
英都篇で描かれているのは、程小時と陸光が大学に入ってすぐ。時期としては1期よりも前で、2人の出会いからが描かれていきます。
しかしその前に、赤い髪の男が写真館を襲撃するシーンがあるんです。陸光をかばって銃で撃たれた程小時は、血の海の中で命を落としてしまいます。彼の死によって過去に行く能力を譲渡された陸光は、自分が撮った程小時と出会った日の写真を使って過去にダイブしていきます。
つまり私たちが見ているこの程小時との出会いからの物語は1度目の過去ではなく、陸光が過去に戻ってやり直している過去の物語ということになります。これが英都篇のポイントなんです。
前半は1期と2期を合わせたようなエピソードが続き、これは3期の前の箸休めのような感じだろうなと油断した頃、行方不明になっている程小時の父親の程偉民(チョン・ウェイミン)につながると思われる英都の写真が見つかったことをきっかけに、一気に物語が大きな展開を迎えます。喬苓の制止を振り切って程小時は陸光と英都に向かい、いよいよ英都篇の本編が始まるんです。
英都での出会い
英都に降り立った程小時と陸光。写真から得られる情報から、彼らは「BAHATI」というサッカーパブの店にたどり着きます。この「BAHATI」は以前は語学学校で、大火災を起こしていました。SNSの写真を通じて火災が起きる前の語学学校の生徒にダイブして自分の父がそこで教師をしていることを知った程小時は、火災の唯一の生存者と対面して……。
というのが、英都に来てからの大まかな流れ。程小時の動きだけを追うと、すっきりとした物語です。しかし見ているうちに、情報量の多さに混乱させられてくるんですよね。なぜなら英都篇は、程小時が父親の行方を辿っている裏で陸光以外の人物も過去の改変に関わり、物語を複雑になものにしているからなんです。
ということで、英都篇に出てくる人物たちの整理をしていきたいと思います。
劉梟
程小時は空港でスリにスマホを奪われるも、英都に留学中の劉梟に取り返してもらって事なきを得て、名刺までもらっています。この劉梟は1期でエマを殺した劉旻の弟で、2期で殺人を繰り返していた李天辰とも繋がりがある人物です。
夏斐
陸光と程小時が「BAHATI」で出会うのが、英都でモデルとして活躍している夏斐。気さくな彼と程小時はすぐに打ち解けて友人になります。しかし彼は、劉梟から程小時と陸光の監視の依頼を受けていました。
Vein
夏斐のモデル事務所の社長であるVein。程小時を気に入った様子を見せますが、彼こそが写真館を襲撃し程小時を撃ち殺した人物。劉梟はVeinを空港に迎えにきており、何らかの繋がりを持っているようです。
王青
語学学校の火災の生存者。程小時の父親の生徒で、カウンセラーとして働く今も彼を慕っている様子。
程小時は、1期2期での殺人と関係の深い劉梟と英都の空港で出会って名刺をもらい、劉梟から監視の依頼を受けて近づいてきた夏斐のツテで語学学校と火事についての情報を得て、夏斐のボスであるVeinから火事の生存者の王青との対面の機会を与えられたわけです。自力で父親の手がかりを見つけていったというよりも、操られているような感じがしますよね。
ここで思い出して欲しいのが、英都篇は陸光が時を戻ってやり直している過去であること、そして、「能力」を持つ者は他にもいるということです。
陸光はVeinによって程小時が殺されてしまう未来を回避しようと、過去に戻ってきています。これから何が起きるか、すでに知っている状態。しかし陸光が慎重に過去をやり直しているにも関わらず、彼の意図せぬところで過去が改変されてしまっています。
陸光が改変されたと言っている内容は以下の3つ。
- 英都の写真を見つけた程小時がすぐに陸光に相談するはずだったにも関わらず、なぜか2人のスマホに英都でのニュースが送られてきたため、タイミングがずれてしまいました。焦りか苛立ちか、陸光が爪を噛んでいる描写がありましたね。(実はこれ以前の場面にも改変されたと思われる描写があって、陸光も驚いた顔をしてるんですが、それはカウントされていないようです。)
- 空港での出来事。2人で英都に行くことは変わらなかったものの、空港にあった夏斐のポスターの写真が違うものとなっており、それに伴ってポスターを見た程小時が陸光にかける言葉も変わり、以前はすれ違うことも無かった劉梟との出会いが発生しました。
改変される前と思われる空港での2人の様子は、第2弾PVで見られます。
本編見ていてPVの内容と全然違うんだが? と思って焦りましたが、過去が改変されていることに気づいた陸光の気持ちは、きっとこんな感じなんでしょうね。 - 夏斐と一緒に、酔った男たちから逃げる場面の分かれ道。以前は右に行けば逃げ切れたと陸光は言っていますが、今回は男が待ち構えていたために左の道を進まざるを得なくなり、まだ会うはずではないVeinに窮地を救われるイベントが発生してしまいました。
やり直す前の過去では英都で夏斐とは会っているものの、劉梟ともVeinとも出会うことは無かったようです。なのに今回は出会ってしまった。これはかなり大きな改変が起きていますよね。陸光はこれ以上の過去の改変を避けるために、大事な存在である程小時を未来で殺すVeinへの殺意をどうにか抑え込み、何も知らなかった過去と同じようにVeinと接していきます。
王青のメンタルクリニックに予約を入れ、程小時が彼女と会えるように手筈を整えてくれたVein。しかし彼はクリニックを急襲し、王青が隠していた手帳を奪って立ち去ろうします。その時、Veinはなぜか突然心停止に陥り死亡。程小時と陸光は夏斐に見送られ英都を後にして写真館での日常に戻り、死んだはずのVeinが目を見開いたところで物語は終わります。
もう一度思い出してくださいね。英都篇は陸光が時を戻ってやり直している過去であり、程小時や陸光のような「能力」を持つ者は複数人いるんです。
程小時たちが英都に来る前からすでに改変が行われていることから、陸光の他にも過去改変に関わる能力を持つ人間がいることが示唆されていました。その人物が王青との対面で、程小時の母親だと判明します。彼女は程小時と同じ能力を持っており、その力を使って火事で亡くなった夫を助けようとしていたんです。
こっそり過去に戻ってやり直している陸光。写真の過去に戻れる能力で夫の命を救おうとしている程小時の母親。同時進行で過去の改変が行われていることになりますよね。程小時の母親は歴史に影響が出てしまうからと、「自分たちのことは調べないこと」「ここでのこと(母親との会話)は他言しないこと」を程小時に約束させますが、陸光による過去改変は続行中。過去に改変されたことが上書きされていくため、過去が変われば未来はどんどん変わっていくことになります。
英都での劉梟とVeinとの早すぎる邂逅などの大きな改変を経て、この先の未来がどう変わってしまっているのか、考えると怖くなってしまいます。
明かされた秘密と深まる謎
英都篇は情報が多く入り組んでいて、明確になったことも残されたまま深まった謎もたくさんあって語るのも難しい感じなので、整理しつつ小分けに語っていきたいと思います。
時系列
はっきりしているのは、英都篇が程小時を救うために陸光が出会う前まで時を遡っている物語であるということ。陸光はこれが最後だと何度も言っています。この言い方、陸光はこれまでに何度も過去に戻ることを繰り返してきていることを示唆していますよね。
過去に戻ったがために程小時との関係が変わってしまうことは絶対避けたいですから、一気に出会う前に戻るなんて怖くてできないはず。きっと陸光は、過去へもっと過去へさらに過去へと、戻っては失敗してを何度も繰り返し、とうとう最後の写真を使って程小時と出会う前まで遡ることになっているのではないかと思うんですよ。
それでは私たちが今まで見てきた1期・2期、そして英都篇は、何周目の過去の話だったのでしょうか。
Vein襲撃シーンの違和感
Veinが写真館を襲撃するシーンで、あれ⁇って思うところがいくつかあります。程小時が撃たれた瞬間にノイズの入った画面が一瞬入ったり、程小時の出血の量が変わっていたり、撃たれていないはずの陸光が腹から出血していたり。過去に戻って何度も繰り返されるたびに改変されていくからなのか、陸光の見ている悪夢やイメージが混ざっているのか、それとも単なる作画のミスなのか。本編では出てこないシーンをしれっとPVにしたりしていて、油断ならないですからね。この差異もポイントになっていくかもしれません。
なぜVeinが写真館を襲撃し程小時を殺したのか、理由がまったく分からないままですし、3部でもあらためてこの場面は出てきそうですよね。
両親の失踪の理由
程小時の両親が英都にいたことは分かったのですが、そもそもなぜ幼い程小時を1人置き去りにしていなくなったのか、分からないまま。程小時が英都に来ることがないように喬苓に口止めまでして去っていたり、語学学校の火事も仕組まれたもののようだし、何より程小時が程偉民の名前を出した時のVeinや夏斐の様子がおかしな感じになっていて、これはただ事じゃないぞという感じがヒシヒシとしていました。
語学学校の生徒に程小時のことを語るほど息子への愛情はあったようですし、程偉民は悪人じゃなさそうではあったんですけどね。この辺りのことは3期で明らかにされていくのかもしれません。
能力について
程小時と同じ能力を母親が持つことが明らかになりましたが、特殊な能力を持っている人物は李天辰など他にもいることがわかっています。この英都篇に出てきた人物たちの中で、確実に能力を持っているのが劉梟と王青。
劉梟は他人の鼓動を聞く能力を持っていますが、その他にも複数の能力を持っている模様。チートな感じですね。英都に行く前に程小時と陸光のスマホに送られてきたニュースは劉梟のおじさんの事件でした。彼はバタフライエフェクトをうまく利用しているのかもしれません。そうなると時間に関する能力を持っていそう。未だ彼の能力について全貌が明かされていないだけに、怖い存在です。
王青の能力は、相手の心臓を止めることができる能力だと思われます。「殺す」とまで書かなかったのは、彼女の学生番号の暗号を中国語で読み解くと「死を偽装する能力」となるらしいということから。王青は、クリニックを襲撃してノートを持ち去ろうとしたVeinの本名を呼んで彼の心臓を止め、その間に逃亡したようです。ちなみに王青が叫んだVeinの本名は萧未影(シャオ・ウェイイン)です。
Veinは能力を持っていないとのことですが、未来で写真館を襲撃したときに「お前たちが過去を変えた罰だ」と言って程小時を射殺していることからも、過去が変えられてしまっていることを把握しているのは確実。程小時と同様の能力を持つ者が側近にいないとVeinが過去改変を把握できないでしょうし、夏斐も何か能力を隠し持っていたりするんじゃないかなーと期待しています。
心理テストの答え
「ゾウ」「キツネ」「伝書バト」「ウサギ」の家族が住む森に放火した犯人は誰なのかという心理テストを、王青が程小時に出題する場面があります。程小時は、「西南部は山火事が多い地域らしいし、犯人なんていないんじゃないか」と答え、王青から論理的かつ優しいと評されています。
陸光もVeinから問われてその心理テストに答えており、Veinはその答えを気に入ったと言って笑っていますが、何と答えたのかは明らかにはされません。Veinへの煽りもあっただろうと考えると、「互いに自分以外の3匹を殺そうとしていた」みたいな物騒なことを陸光は言ったんじゃないかなと思っています。
語学学校も放火されたことを考えると、この心理テストは意味深ですよね。
王青との会話
王青と程小時の対面の場面、会話がちょっと分かりにくかったですよね。日本語版は尺の関係なのかカットされている部分があり、実はVeinが程小時を「マフィアのボスの子で遺産を巡り兄弟で争った」という設定で王青のクリニックに予約していたため、父親の話になったんです。なぜVeinがそんな設定にしたのかは分かりませんが、面白半分ということではないだろうと思っています。
バタフライエフェクト
王青のクリニックに向かおうとするVeinに向かって、バタフライエフェクトの話を語る陸光。陸光は過去に改変を加えてしまわないように慎重に行動していましたが、それでは未来は変えられませんし、もうすでに過去に対してさまざまな改変が加えられてしまってもいます。そのことから、「どうせ過去を変えるなら大胆に」と、この時陸光は腹を括ったのだと思います。
全ての罪を一人で負う覚悟を決めた陸光は、程小時のために積極的に過去の改変をしていくことになるのかもしれません。もしそうなると、英都篇は1期2期の前の話であるため、今まで見てきた物語にどんどん変化が起きていくという可能性も考えられますね。
やっぱり曲が良い
英都篇のオープニングムービーを見ていると、陸光には程小時と過ごす時間はこんなにも穏やかで暖かな光に満ちたものに見えるのだなと、程小時への思い伝わってきて胸が熱くなります。
『時光代理人』って、1期からずっとオープニングもエンディングも曲がすごく良いんですよね。特にオープニング曲は今回も「白鯊JAWS」のボーカル鱼麦扣さんの優しい歌声が生きる、美しいメロディがとても印象的な曲になっています。ムービーとメロディの爽やかさとは相反して歌詞は切なすぎるものとなっています。
以下は歌詞(コーラス部分)の一部抜粋
But I couldn′t save you, I couldn't make it to you
Trapped in endings I don't want you to know
So long to a bursting wave of blinding lights
和訳(自動翻訳による)
でも、君を救えなかった、君のもとへたどり着けなかった
君には知られたくない結末に囚われて
眩しい光の波が溢れ出す中、さよならを告げる
『時光代理人』は作品の音楽のイベントも行っているほど力を入れていて、関連曲も非常に良いものが多いんですよ。いろんな曲がありますので、ぜひ聴いてみてほしいです。私が特に好きな曲を載せさせてください。
こちらの「Flash」は2期と英都篇の挿入歌として使われた曲です。とにかく曲の始まりからサビまで全部カッコ良い曲なので、挿入歌にしておくのがもったいない気がします。3期でもバンバン流して欲しいです。
「BREAK!」はイメージソングという扱いなのかなと思います。作品の世界を広げる感じの曲ですね。ちょっとハードな曲調とMVの黒い天使の翼の陸光と白い悪魔の翼の程小時が印象的。
「RE WIND」もイメージソングという扱いなのかなと思いますが、作品の世界にこだわらず、陸光と程小時がまるでアイドルのMVのようにカッコよく踊っています。このMVが見たくて何度も繰り返し聴いてます。
「PAIN」はVain、劉梟、夏斐の曲です。これもイメージソングになるかと思います。ダークなかっこよさが堪らない曲になっています。
第3期はどうなる?
本国では『時光代理人 -LINK CLICK-』第3期PVが公開されています。
陸光と程小時、劉梟の幼い頃の描写があるんですね。みんな、めちゃくちゃ可愛いですね。でも陸光のことを程小時が忘れてしまっているようなシーンがありましたよね。これは過去が改変されてしまった影響ということなのでしょうか。この作品、PVも信じられないみたいなので、どう解釈すればいいのか混乱してしまいます。個人的には夏斐を良い子だなと感じてしまっているので、彼の冷たい目をした表情が悲しいです……。
警察がVeinを追っているようですし、新しく登場するキャラもちょっと怪しげな様子で、今まで以上にシリアスな物語になりそう。2026年10月配信予定で、全24話あるそう。Veinと夏斐が物語の中心になるとも。
この3期が日本語版で見られるのは、また2年ほどになるでしょうか。まだまだ先の話ですが、3期の日本での放映がされることを信じて待ち続けたいと思います。