観て聴いて読んで書く

マンガ、アニメ、ゲームなど好きだと思ったものについて無節操に書き綴ります

手放してしまったマンガたちへの後悔について語りたい

皆さんの本棚に中に、どれだけの漫画がありますか? 紙の本って所有欲も満たされるし、本の重さやページをめくるという動作で読んでる実感があるし、やっぱり特別なものなんですよね。ではありますが、本棚は無限に本を収納できませんし、本棚を増やし続けるのも無理な話。しかも引っ越したり年齢が上がったり置かれる状況の変化で「これはもう読まないかもしれないな」と手放すことになるのもよくあること。そして手放してしまった後に「なんで手元に残さなかったんだ!」と激しい後悔に襲われるのもよくあること。

ということで、今回は私がこれまでに手放してしまった懐かしのマンガたちの中から、個人的に思い入れの強い作品について後悔しながら語っていきたいと思います。

 

 

今や手に入らない名作『キャンディ♡キャンディ』

いきなりこ往年の名作『キャンディ♡キャンディ』をかましていきます。この作品を読んでいたのは幼稚園の頃だった気がします。絵本の次に読んだのがこれって……なかなかマセてるなって感じですね。

うちの母が『あしながおじさん』『ジェーン・エア』といった、孤児院出身の天涯孤独な少女が周りの助けを得ながらも、しっかり勉学に励みちゃんと自立してガッチリ幸せを掴む話が大好きなんですが、この『キャンディ♡キャンディ』もまさしくその系列。ハマったんだろうなと思います。

最初はお金持ちのお家が舞台の少女マンガなので洋服とか髪型とか可愛いなーなんてニコニコ読んでいましたが、キャンディが孤児院出身ということでひどいいじめを受けたり、初恋の人アンソニーが目の前で落馬して死んでしまったり、イギリスの貴族の子息(でも不義の子)テリィと恋に落ちるも愛し合いながら別れを選ばざるを得なくなったり、しまいには戦争が起きたりとなかなか物語はヘビー。

そんなドラマチックな物語に夢中になって読んでいたわけですが、私がおチビだったこともあって読み漁られた単行本はボロボロに。じゃあ捨てるか、となったわけです。

この作品、とっても良いのに、原作者と作画者とで著作権争いがあり今は絶版だそうです。大人になった今また読み返したら、印象は違ってくるのかなと非常に興味があるんですが、読めないとは残念。アニメにもなったし、それだけ人気もあって儲かったってことなのだなーと。昔の作品なので、契約とかいろいろきちんとしてなかったんでしょう。まったくこの作品との関連はありませんがジャンプで連載していた『アクタージュ』という作品が原作者が事件起こしたために打ち切らざるを得なくなったことなどもあったし、マンガ作品に原作者がいると「大丈夫かな?」と何となくちょっと不安になってしまったりします。

 

やっぱり神作画『DEATH NOTE』

『DEATH NOTE』を連載してる時期にちょうどジャンプから離れてしまっていて、作品自体は知っていたもののちゃんと本誌では読んだことが無いまま過ごし、実写映画で遅れてハマりました。松山ケンイチさんのビジュアルの原作再現度がすごいですよね。

映画を見てからすぐに原作を買い揃え、かなりのめり込み読んでいました。登場するキャラクターの中ではLの人気が高いと思うんですけど、私は彼の後継者として登場するニアが可愛くて仕方ないんですよね。「ライトとLとどっちが好き?」みたいな質問をされて「その2人じゃなくて私は断然ニアが好き」と答えて「へえ、そうなんだ……」と引かれたの、いまだに納得いきません。こんなにニアは可愛いのに。

なぜこの作品を手放してしまったかというと「家に置いておくのが怖かったから」。散々読んでおいてそんな……。子供も生まれたので、主人公が人を殺していくマンガって不謹慎かなって当時の自分は思ったんでしょう。でも子どもが大きくなるまで目につかないところにしまっておけば良かったんですよね。なんで手放しちゃったんだよって後悔してます。

でもやっぱりずっと好きなんですよ。小畑健原画展では絵の美しさに感激しましたし、コロナ禍で家にいた間に見ていなかったアニメも全話視聴しましたし、通ってる歯医者さんの待合室に全巻揃って置いてあることも発覚したしで、これはもう神様にもう一度読み返せと言われてると感じてます。

デジタルだとモノクロ版とカラー版があるんですね。同じ作画でも色がついただけで印象が変わってなかなか面白いなと思いました。

 

命懸けの恋をする『最終兵器彼女』

『最終兵器彼女』という作品のベースとなるのはあくまでも、北海道の高校生シュウジとちせの恋。しかし背が小さくて口ぐせが「ごめんなさい」という内気な少女ちせが、実は身体を兵器に改造されており、女子高生でありながら最終兵器として戦い続けているという壮絶な設定が加わるんです。

戦闘の経験を重ねるうちに、兵器として性能が向上していき、心までもが冷酷に人を殺す兵器らしさを帯びてきてしまうちせ。なぜ彼女が兵器となったのか、この戦いは何のためなのか、この世界がどうなっているのか、細かい説明は全くありません。シュウジは受け入れていくことしかできないまま翻弄されていくんですよね。

敵だけでなく味方からも死神として恐れられるほどの圧倒的な威力で敵を殲滅する兵器となりながらも、恋する1人の女の子でありたいと願うちせ。戸惑い恐怖しながらも、シュウジはその想いに懸命に応えて最後の瞬間までちせと懸命に生きて恋をしていきます。絶望しかない世界でも人は恋をするんですよ。今思い出しても胸がキュッとします。

で、なぜこの作品を手放したかといえば、「性描写が多かったから」なんですよね。今グッチョグチョなBLを貪り読んでいる奴がホント何言ってんだって感じですが……。青年マンガですし、性描写はこの作品には必要だなーとも思いますが、子どもが生まれるってことで、当時の自分は一度健全化を図りたかったんでしょう。それにちせは兵器として人を殺していく側に立っていますし、ゴロゴロ人が死んでいきます。絵本と一緒に並べて置けないよなーって。

でもやっぱりこの作品を忘れられなかったんです。手放さずに子どもが見えないところにしまっておくという発想がその時に浮かばなかったことをめちゃくちゃ後悔しました。

ということで、東京スカイツリーの足元のソラマチで『最終兵器彼女』の原画展開催を知ってすぐ、お休みを取って観に行ってきました!

1巻の地獄坂を登るところから始まり7巻のラストまでシュウジとちせの物語を辿り直す展示で、「ここ修正してる!」「コマを切り貼りしてる!」「こっちはデジタルでこっちはアナログ!」などなど、見ていて高橋しん先生の作品との格闘を感じましたし、読んでいた時の感情を思い出して展示の終盤ではちょっと泣きそうになってしまってました。個人的にはシュウジやテツの部屋の間取りや家具についてディノスやベルメゾンなどのカタログのページで指示が入っているのを見て、妙にグッときてました。

電子書籍で買い直すしかないかーと思っていましたが、原画展の物販で愛蔵版を全巻購入できましたー! これからバンバン読み返していきたいと思います。

 

足りないネジは誰かが持ってる『鉄コン筋クリート』

人からはネコと呼ばれる2人の少年シロとクロが、暴力のはびこる宝町で逞しく生きていく様を描いた『鉄コン筋クリート』。松本大洋先生の絵がとにかく良いんですよ。唯一無二な感じ。

クロとシロは廃車の名から暮らすストリートチルドレン。飛び抜けた身体能力で町中を飛び、カツアゲなどの犯罪行為で暮らしています。クロはあまりにも純粋で幼いシロの面倒を見ており、シロを傷つける者は許しません。まるでシロを守ることが彼の全てのようにすら感じられます。そんな彼らの住む宝町に「開発」の手が伸び、クロとシロは殺し屋に命を狙われるように。

しかしこの作品、クロとシロが悪者から宝町を守るというような、単純で明快な物語にはなりません。黒と白、大人と子ども、光と闇、善と悪、あらゆる相反するものを人はその心の中に飲み込んで存在してるんだなーみたいな哲学的なことを考えさせられる、というか考えたくなるような展開になっていくんです。

『ピンポン』とともに『鉄コン筋クリート』をなんでか手放してしまったんですが、当時の私はおかしかったとしか思えないですよ。今では「子どもが大きくなったら読ませたかったのに!」と激しく後悔しています。ホントになぜ手放したんだろう……。謎すぎて本当に悔しいです。

この作品のアニメ映画も良かったですよね! 混沌とした宝町に入り込んでいくような感覚になれましたし、蒼井優さんの演技が良かったですし。まずは休みの日に子供と一緒に映画を見返すところから始めようかなと思います。