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『ID: INVADED イド:インヴェイデッド』について語りたい①出会い

皆さんは『ID: INVADED  イド:インヴェイデッド』という作品をご存知でしょうか。

2020年1〜3月にTOKYO MXなどで深夜に放映された、『Fate/Zero』のあおきえい監督のオリジナルアニメで、脚本及びシリーズ構成を『阿修羅ガール』で三島由紀夫賞を受賞した小説家の舞城王太郎先生が担当しているSFミステリー作品です。

2020年の年明けすぐに放映が開始されたこの作品に、私は3ヶ月間ドップリと浸かりきっており、ファンアートを描いたり、ふとした瞬間に作品の場面やセリフを思い出してはその意味を考察してみたり、悲しくなったりニヤニヤしたりと、我ながら見事なハマりっぷりでした。

私が描いたイド:インヴェイデッドのファンアート

こんなファンアートを描いたりしてました

全話放映が終わったということで、物語を見届けた興奮を引きずりつつ、この『ID: INVADED  イド:インヴェイデッド』について語りたいと思います。

JIGSAWED

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  • 発売日: 2020/01/13
  • メディア: Prime Video
ID:INVADED イド:インヴェイデッド Blu-ray BOX 上巻

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  • 発売日: 2020/04/24
  • メディア: Blu-ray

 

『ID: INVADED  イド:インヴェイデッド』との出会い

この『ID: INVADED  イド:インヴェイデッド』という作品を知ったのは、2019年の夏のことです。『さらざんまい』を全話見終え、ちょうど『彼方のアストラ』を夢中で見ていた頃かなと思います。第1弾のオフィシャルトレーラーが流れたのです。

 

youtu.be

 

それは、全くと言っていいほど作品の内容が分からないものでした。あおきえい監督作品だということ、脚本は舞城王太郎先生であること、そして2020年に放映されること、それ以外はほぼ何も分からない謎だらけ。

しかし、暗闇の中で様々に形を変えながら遠ざかっていく緑色の光の映像の美しさや、短く映るバラバラな世界、そしてバックに流れる神経質に細かい音を奏でるバイオリンの音色と力強いチェロやベースの音がカッコいいけど不穏な感じの音楽など、自分にとってたまらなく魅力的だったのです。

そして、素晴らしいタイトル。いいですよね〜、「イド」という響き。フロイトの提唱した精神分析の用語ってやつです。完全なる無意識の世界。本能的な欲求や衝動を担うという心の部分。こういうの私、大好物です。実にそそられますね。しかもその後に続く「インヴェイデッド(invaded)」という言葉。「侵略する、襲う」といった意味の受動態、もしくは過去形ですね。誰のイドが何によってどのように侵されたのか。とてもインパクトのある硬派なタイトルで、興味を植え付けられてしまいます。

アニメでは、魅力的なキャラクターや絵柄が気に入って見ようというきっかけにもなり、大事だなと思いますが、好きな絵なのに見ていてつまらないお話だと、余計にガッカリしてしまいますよね。だから私は、物語の軸となる脚本とそれを形に仕上げる監督の存在って、とても重要だなぁと思っています。

私はアニメが好きなだけで特別詳しいわけではないので、監督の方のお名前など有名な方でもよくは知りません。でも、キャラクターで釣るのではなく、監督と脚本家の名前をあえて前面に出しているということで、「作品そのものに自信があるのだな」と感じました。

アニメに原作があれば、そのファンが期待を持ってアニメを見てくれるでしょう。しかし、オリジナルアニメはそうはいきません。とてもチャレンジングですし、だからこそ逆に私はオリジナル作品に期待を寄せますし、応援したくなるのです。

ですが、2020年なんてずっと先のことで、何月の放映かすらも情報が無いので、興味を持ちつつもその時点ではそこまで止まりでした。

 

オフィシャルトレーラー第2弾で完落ち

しかし秋になり、『ID: INVADED  イド:インヴェイデッド』のオフィシャルトレーラーの第2弾を目にしたその瞬間に、一気に私のテンションが上がりました。

 

なぜならば! 主演が!
津田健次郎さんだったからです!

 

youtu.be

 

『さらざんまい』を視聴していて、津田健次郎さんの声と演技にいたく感激した私は、もっとこの方の出演される作品を見てみたいな〜と考えていました。今までご縁がなくて、出演作品をほぼ視聴したことが無かったのです。

もちろん、素敵な声をお持ちだなと思う声優の方はたくさんいらっしゃいます。お名前とお声が一致する方も何人かはいます。でも、今まで「この方が出ているから見たい」とまでに思うようなことは無かったんです。良さそうだなと思った作品を見ていたら、聴き覚えのあるお声の声優さんが出演されてうれしいな〜と思うくらいな感じで。でも、津田健次郎さんに関しては、出演作品を追いかけてみたいなと思うようになっていたのです。

そんなタイミングでの『ID: INVADED  イド:インヴェイデッド』のオフィシャルトレーラー第2弾です。第1弾では一瞬しか映らなかった主人公が、津田健次郎さんのお声で喋ったんです‼︎ 気になっている作品の主役が津田健次郎さんだなんて、もはやこの作品に自分が呼ばれてるんじゃないかとさえ思いました。

しかし、その第一声は「カエルちゃん」。

「カエルちゃん?」とその名前を聞いた瞬間、オフィシャルトレーラーの不穏な感じと名前から来るイメージとの差に一瞬首をかしげたくなってしまいましたが、 これはやっぱりシリアスな物語なのだとすぐに理解しました。なぜならば、「カエルちゃん」と呼ばれた少女は、胸にナイフが突き刺さった状態で血の海の中に横たわっていたのです。

津田健次郎さん演じる主人公の酒井戸は、ナイフでひと突きされた彼女の死の謎を解く「名探偵」のようです。しかし彼のいる世界は、地面も建物も人の体さえもがバラバラな世界。その白い世界の情景の美しいこと。どう考えても不可思議なこの場所は、別のキャラクターのセリフから、どうやら「イドの世界」らしいぞということが分かります。そしてsouさんによるスピード感溢れるOP曲「ミスターフィクサー」が流れ出し、様々な場面が映し出されていきます。

このオフィシャルトレーラーでもっとも印象的なのはラスト。腕がバラバラに切断されていく主人公の叫び声で終わるのです。

 

この先、一体どうなっちゃうんですか⁉︎

 

カエルちゃんという少女が死んでいたり、世界がバラバラになっていたり、津田健次郎さんが叫んでいたり。怖いし、意味が分からないし、でももうこうなったらこの作品を見るしかないじゃないですか⁉︎

ということで、私は放映開始の日時をチェックして、録画予約をしたのでした。

そして迎えた放映開始。『ID: INVADED  イド:インヴェイデッド』という作品が一体どんな物語なのか、ワクワクしながら再生ボタンを押しました。

 

『ID: INVADED  イド:インヴェイデッド』ってどんな作品?

この舞台は近未来と思われる東京です。殺人犯の殺人衝動の世界であるイドに潜り込み、その殺意の持ち主である連続殺人事件の犯人を突き止めていくSFミステリーです。

連続殺人犯を捜査するのは特別組織「蔵(くら)」。殺人犯の殺意の思念粒子は、この蔵に所属する外務分析官たちが持つ「ワクムスビ」というスピードガンのような携帯端末を使って採取されます。そして「ミズハノメ」という装置により作り出された殺人犯たちの様々な「殺意の世界=イド」の中に「名探偵」が投入されるのです。

この「名探偵」が投入されるイドの世界では、必ずいつも同じ少女が死体となって現れます。「名探偵」がこの少女の死の謎を解くことによって、イドの世界の全貌が明らかとなり、そのイドの主である犯人が判明していくのです。

この物語の主要なキャラクターは以下の通りです。

 

【酒井戸(さかいど)】(声:津田健次郎)

連続殺人犯たちの「殺意の世界=イド」でカエルちゃんの死の謎を解く名探偵。イドで目覚めるたびに自分に関する記憶を無くしている。

 

【鳴瓢 秋人(なりひさご あきひと)】(声:津田健次郎)
殺人を犯して独房に収監されている男。妻と中学生の娘がいた。

 

【カエル】
イドの世界で必ず死体として現れる少女。様々な死に方をしている。

 

【百喜 船太郎(ももき ふねたろう)】(声:細谷佳正)
「ミズハノメ」を用いて連続殺人犯の捜査をする警察の特殊組織「井戸端」の室長。鳴瓢とは旧知の仲。

 

【富久田 保津(ふくだ たもつ)】(声:竹内良太)
連続殺人犯「穴あき」。自分の頭にも自ら穴を空けている。

 

【本堂町 小春(ほんどうまち こはる)】(声:M・A・O)
「井戸端」と連携を取って実地捜査を行う新人の外務分析官。

 

この他の登場人物として、室長の百貴をサポートする東郷の他「井戸端」メンバー、本堂町とペアを組んでいるベテラン外務分析官の松岡、そして「井戸端」や外務分析官たちの属する組織である「蔵」の局長の早瀬浦、鳴瓢の奥さまの綾子さんと娘の椋ちゃんなどがいます。

津田健次郎さんの演じるキャラクターが「酒井戸」と「鳴瓢秋人」と2人いますよね。そのことを知った私は「この感じ、もしかして二重人格の話かも?」と放映前は予想していました。公式サイトを見に行っても、酒井戸の顔は分かるのに、鳴瓢は姿すらもよく分からないような暗い画像を掲載してあり、「この主人公、なんだか怪しげだなぁ」などと感じていました。

この時の私はまだ、津田健次郎さんの演じるこの主人公に、こんなにも心を奪われ、祈り、泣かされることになるなどと予想だにしていなかったのです。

 

 

物語終盤のツイート三連発。ホント、我ながら鳴瓢への愛情をいい感じに拗らせているなと思います。

次回はこの『ID: INVADED  イド:インヴェイデッド』の第1・2話について語っていきたいと思います。

id-invaded-anime.com

 

前回は、同人誌と新型コロナウィルスについて語っています。興味を持っていただいた方はこちらからどうぞ。

isanamaru.hatenablog.com