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『ファイアーエムブレム 風花雪月』について語りたい【2】学級選択

皆さんは「ファイアーエムブレム」シリーズ中の名作『ファイアーエムブレム 風花雪月』をプレイしたことがありますか?

士官学校に集った生徒たちが国の未来をかけて三つ巴でぶつかり合うことになるこのゲーム。今回は、序盤の分岐点である学級の選択と、そのことによって感じることとなる葛藤などを中心に、このゲームの魅力をさらに語っていきたいと思います。

 

ゲームスタート

無駄な逡巡を経て、いよいよ『ファイアーエムブレム 風花雪月』をプレイすることにした私。3学級あるので、「まずは終わりまでやってみて、また時間ができたら他の2学級のメンバーでプレイしてもいいかな〜」と軽く思いつつ、まずは1周目開始。

相方が男主人公のベレトで遊んでいたので、自分は女主人公のベレスを選択。ベレトはスキのないかっちりした服装ですが、べレスはおへそチラ見せでショートパンツに柄タイツを履いていたりして、任天堂なかなかちょっと頑張ってる感じです。

物語は「灰色の悪魔」と恐れられる凄腕の傭兵である主人公が、ある夜、盗賊に襲われてしまった少年ら3人を偶然助けるところから始まります。

3人の級長との出会い

級長さんたち3人との出会いの場面

助けたこの少年たちがセイロス聖教会の拠点であるガルグ=マク大修道院に併設された士官学校の生徒たちであったことから、主人公は父のジェラルトとともにセイロス教の大司教に会いにいくことになります。

そしてそこで待ち受けていた大司教レアによって、主人公はあれよという間にその士官学校の教師となることが決まってしまうのです。本人はもちろんですが、ジェラルトをはじめ大司教の周囲の人たちも戸惑うほどの大抜擢。有無を言わせぬこの展開、ちょっとハメられた感があります。

そんな大胆な決断をなさるレア様ですが、その姿を見た瞬間「このゲームが始まってすぐ流れる映像で敵をぶちのめしていた女性に似ているような……?」となります。とても美しく、笑顔で穏やかに語りかけてくださるレア様。しかし主人公の父ジェラルトは、どうやら彼女を警戒している様子。このことは後々物語に影響してきます。

士官学校の教師として働くことになった主人公。まずはアドラステア帝国のエーデルガルト率いる黒鷲の学級ファーガス神聖王国のディミトリ率いる青獅子の学級レスター諸侯同盟のクロード率いる金鹿の学級の3つのうちから、自分が担任となる学級を選びます。級長さんたちからそれぞれ自分のクラスメイトたちを軽く紹介してもらい、最初に私が選んだのは金鹿の学級‼︎ 理由は簡単です。

 

単純にクロードが
私の好みだったからです‼︎

 

なにしろ『ファイアーエムブレム 風花雪月』のキャラクターデザインは倉花千夏さん‼︎ 繊細で美しい絵です! しかもクロードの声は豊永利行さん‼︎ とっても素敵なお声です! これはもうホント最強以外の何ものでもないですよ。
でも、もちろん理由はそれだけではありません。

今回の主人公は、国を救う者として自ら先頭に立って戦うというよりも、将来は君主として国のトップに立つことになる級長さんをはじめとする生徒たちを、教え導きサポートしてあげるという立場になります。ということは、いわゆる「勇者」的なポジションには級長さんがくるわけですよね。

アドラステア帝国の皇女であるエーデルガルト、ファーガス神聖王国の王子であるディミトリは、2人とも姿形からして「いかにも」という感じ。ですがクロードは、世界の未来を背負い正義の側に立って悪を倒す勇者にしては、軽口を叩いてみたり自分を猜疑心の塊と言ってみたりと遊びがあり、清廉潔白で品行方正なだけではないところが、いわゆる「正統派」っぽくなくて面白いなと感じたのです。

主人公に興味津々なクロード

しれっとこんなことを言うし

金鹿の生徒たちとの対面

ええ、そうです、その通りです

そして彼は弓使い‼︎ 昔から自分は弓や魔法で敵を倒すキャラクターに惹かれることが多いので、どうしても食いついてしました。級長さんはそれぞれに、斧、槍、弓と得意な武器が割り振られていますが、派手に敵を倒すことができる斧や槍とは違って、弓ってメインの人が持つ武器っぽくないイメージ(個人的見解)。主人公が剣で戦う人なので、武器の組み合わせとして、どんな感じか見てみたいなというのもありました。

クロードを選んだ理由を並べようと思えばいくらでも並べ立てられるんですが、この辺りで止めておきます。

 

どの学級を選ぶべき?

単純に気に入ってしまったからという軽い理由で、私は最初にクロードの率いる金鹿を選んでプレイし始めたわけですが、初めてプレイする方はこんな感じでいいと思うんです。あれこれ考え込まずに直感で、一緒に学校生活を送れたらいいな〜と思う級長さんの学級を選ぶのが正解です。

だって本当にどの学級を選んだって「学校生活」は楽しいんですから。

ただこの『ファイアーエムブレム 風花雪月』、後半では主人公は君主となった級長さんと共に敵国を打ち倒し、舞台となる大地フォドラの統一を目指す展開となっていきます。ゲームの紹介映像で三者がぶつかり合う「血の同窓会」がクローズアップされていましたよね。かつての同級生たちが三つ巴で戦うことになるのが、このゲームの売りなんです。

黒鷲を選べば帝国軍として、青獅子を選べば王国軍として、金鹿を選べば同盟軍として、主人公は選んだ学級の生徒たちの出身国の一員として戦うことになり、選ばなかった残り2つの学級の出身国は敵となってしまう、そこだけはちょっぴり頭の片隅に置いておくと後々の気持ち的にいいかもです。

物語は自分が共に戦う生徒たちの国から見た目線で物語が進むので、敵国の状況は伺い知ることはできません。自分が選んだ学級の級長さんが一国の将としてどんな作戦を立てどこを攻めようとしているかは当然知ることができますが、敵となった2つの国がどんな内部事情を抱えているのか全く分かりませんし、挙兵した狙いも変わり果ててしまった理由も最後まで憶測に留まってしまいます。主人公が敵国側につかない限りこの戦いの全貌を知ることは出来ない、つまりトゥルーエンドというものは存在していないのです。

 

これがこのゲームの肝!

 

士官学校にいた頃は互いに対するライバル心こそ感じられましたが、級長さんたちは普通に会話をしますし、国は違えどそこまで仲が悪そうには見えませんでした。そんな彼らが大人になり、戦っているのはなぜか。彼らにはそれぞれ波乱の過去があり、自分なりの理想や信念を持って兵を挙げフォドラの地を統べようとしているからなのです。

クロードには出生にまつわる物語があり、彼の目指す理想の世界がありました。それをクロードから聞いて私はかなり感動しましたし、共に戦う意義も感じました。同様にエーデルガルトやディミトリにも、クロードを上回るほどの壮絶な過去と理想とする国のかたちがあります。しかし敵同士になってしまえば、彼らの口からそれらについて聞くことは叶わないんです。

なので、自分の選んだ学級の生徒たちと戦い抜いてクリアをしても、どうしても他の学級の級長たちのことが気になってしまうんですよ。実際に私は最初に金鹿を選んでプレイしていたのですが、クロードと共に戦う中で本当にエーデルガルトやディミトリが敵の将として出てくることに衝撃を受けましたし、彼らがこの戦いの中でどんなことを思っていたのかどうしても知りたくて仕方がなくなってしまいました。

というわけで、クロード率いる金鹿のルートをクリアした直後にディミトリと共に戦うべく青獅子を選んでプレイ2周目を開始。結局、金鹿、青獅子、黒鷲の全学級を担任し、級長さん全員とそれぞれ共にフォドラ統一を無事成し遂げ、勝利を味わったのでした!

これって『ファイアーエムブレム 風花雪月』で何度も繰り返し遊んでもらうため、最初から周回プレイしてもらうことを狙って物語の全貌が一方からだけでは分からないように作ってあるってことなんですよね。まんまと制作側の思惑どおり、見事に沼にハマって周回してしまいましたよ。

そしてハマりにハマって全ルートをクリアしてみて、帝国・王国・同盟のそれぞれに、主人公が共に戦うに値する理由があり、単純に正義と悪との対決では片づけられないという物語の素晴らしさと、3人の級長それぞれに対しての制作側の方たちの愛情や思い入れを感じることができました。

 

エーデルガルトの信念、ディミトリの理想、クロードの野望。
どれもが正しくて、またどれもが共感できる。
けれど、選べる道はひとつ。

 

このゲームが傑作の域に達しているのは、このほろ苦く切ない真実があるからだと思います。

 

自分だけ転生しているような……

どの学級にするかを選ぶのはゲームの序盤も序盤。なので、別の学級でプレイするためには、ゲームをまた最初からプレイすることになります。当然、物語は士官学校時代のエーデルガルト、ディミトリ、クロードの3人と出会うところから始まります。

こちらは1度クリアしているので未来の彼らのことまで知っているのに、彼らは全く主人公のことを知らない状態。目の前にいるのは一国の君主として立派に戦いの指揮を執っていた彼らではなく、まだ17歳のちょっと幼さの残る少年少女の彼ら。会話をするたび、だんだん記憶を残したまま1人過去の世界に戻され、自分だけが生き直しているような感覚になっていきます。それがけっこう精神的にグサグサくるんですよ。

私は最初に金鹿の学級でプレイしたので、金鹿の生徒たちと共に過ごし心を通わせ合ったわけです。でも2周目には青獅子を選んだので、青獅子の生徒たちとの交流は多くなりますが金鹿の生徒たちとは疎遠になります。これが無性に寂しい。

しかも、クロードが何を話して何を目指しどんな思いで戦い抜いたのかを見届け知っていながらも、今回青獅子を選んでしまった私は彼と共に戦うことはできないわけです。なんてことだ…。

同じ学級で繰り返しプレイする場合には感じないのかもしれませんし、私もプレイ2周目を開始してすぐは「今度はディミトリだ〜、青獅子だ〜」と単純に物語の展開を楽しみにしていました。でも青獅子の生徒たちと仲良くなりディミトリの背景を知るにつれて、「こんなに青獅子の生徒たちは良い子たちなのに、金鹿の生徒たちと命をかけてぶつかり合う未来しかないなんて‼︎」と胸が苦しくなるように。

ツライ。でもディミトリがフォドラの地を統べる姿も見てみたい。でもそのためには、エーデルガルトとクロードとの戦いは避けられない‼︎ クロード許してくれ…‼︎

青獅子単体として物語が進んでいく部分は気楽なのですが、やはり他学級の子たち(特に金鹿)が絡む戦闘になるとちょっと気が重たくなります。「先生とは戦いたくなかった」みたいなことを言われて「こっちだって戦いたくなんてないわ‼︎」とコントローラーを何度握り潰しかけたか。でも敵は敵。戦いは避けられないし、彼らを倒すしか先に進む方法はありません。なので主人公ではなく他の生徒に倒すのを任せたりして、なんとかやり過ごしました。

 

でもね、人間って慣れるんですよ。

 

金鹿を終え、青獅子ルートもツラいとか何とか言いつつ元生徒たちを倒して最後までクリアしディミトリと共にフォドラを統一! 勝利の余韻を味わった後、次はエーデルガルトの黒鷲の学級を選ぶべく、しれっと3周目を開始。

今度は金鹿と青獅子のどちらの学級の生徒にもめちゃくちゃ思い入れがある状態です。生徒たちは皆、とても良い子達だって知ってます。敵とはいえ、本当は誰一人倒したくなんてないんです。どうして君らと戦わなきゃならないんだ、仲間になってくれていたら良かったのに、といくら嘆いても彼らを倒さないとエーデルガルトがフォドラを統一することができません。打倒金鹿‼︎ 打倒青獅子‼︎ ということで、彼らから勝利をもぎ取り、エーデルガルトともしっかりフォドラ統一しました!

今はまた金鹿の学級を選んで、クロードと共に戦っている最中です。

 

先生も人の子なので

悪魔の所業のようなことを書いていますが、さすがに元生徒たちを次々に斬っていくことになるのはダメージが大きすぎます。元生徒たちの断末魔の叫びはエコーがかかっちゃったりして耳に残りますし、最期のセリフも、自分で倒しておきながら悲しくなって打ちひしがれてしまいます。

でも大丈夫! ちゃんとプレイヤーの心のダメージを最小限にとどめる方法が、ゲームの仕組みとしてちゃんと用意されているんです。その名も「スカウト」

 

ということで、まだまだ『ファイアーエムブレム 風花雪月』について語り尽くせていないので、次回はこのゲームの遊びの部分かつ仲間との絆をつなげるための重要なシステムである、スカウトや支援そして第4の学級について語りたいと思います。 isanamaru.hatenablog.com