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『ファイアーエムブレム 風花雪月』について語りたい【7】金鹿の生徒たち

「ファイアーエムブレム」シリーズ中の名作『ファイアーエムブレム 風花雪月』。今回はクロード率いる金鹿の学級の生徒たちについて、彼らの人となりを私個人の思い入れを込めてガッツリと語っていきたいと思います。

 

金鹿の学級は自由気まま

クロード率いる金鹿の学級は、レスター諸侯同盟出身者の学級です。黒鷲や青獅子がほぼ貴族の子供たちなのに比べて、平民出身の生徒が多いのが特徴的。

エーデルガルトやディミトリの2人に比べてかなり緩い印象のクロードが級長である金鹿の学級の雰囲気は、まさに自由気まま。普段は全員がバラバラに違う方向を向いています。

そんな彼らでも何かあるとクロードを中心にガッチリ一致団結し、仲間意識の強さを感じます。円のように常にお互いを向き合っているような内向きの仲の良さを感じる青獅子とも違い、金鹿の学級はそれぞれが自分の世界をしっかり持ちつつ皆が横並びで進んでいるような感じがします。

 

金鹿の学級の生徒はこんな子たち

クロード=フォン=リーガン(声:豊永利行)

クロードは、レスター諸侯同盟を束ねる盟主リーガン公オズワルドの孫であり嫡子。黒髪にやや褐色の肌、一房だけ伸ばした横髪を編んで垂らし、耳にはピアス。いかにも優等生なエーデルガルトとディミトリの2人とは、見るからに違うタイプですよね。制服の襟元を広げてインナーを覗かせているなど、かっちり堅苦しいのは苦手そう。でもロードのコスチュームが似合っているのを見ると、やっぱり彼も「王子枠」なんだなあと思わせられます。

実はクロードがリーガン家の嫡子であると公表されたのは、つい最近。リーガン家は後継者である身内が亡くなり断絶の危機に面していたはずなのに胡散臭い、と怪しまれたりもしますが、実際に彼の出自はちょっと訳あり。現領主の息子じゃなく「孫」ってとこがミソです。

嫌いなものは「神頼み」や「運任せ」。セイロス教への信仰ありきのフォドラの貴族でありながら、その教義に否定的なことを口にしたり、この地の歴史に疑いをもっていたりと、クロードは妙にフォドラを客観視しているところがあり、何やらどうも一筋縄ではいかない感じがします。普段の彼が飄々とした雰囲気を持っている分、その腹の内には一物有りなんだなというのがビシバシ伝わって来るんですよ。私そういうの大好きなんですよね〜。ホントたまりません。

大聖堂で不遜なことを言うクロード

大聖堂で神頼みは嫌いと言い切るクロード

第2部ではクロードは同盟の盟主となり、諸侯を束ねる立場に。髪をオールバックにしてもみあげから繋がる頬髭を生やし、かなり貫禄が出ています。まだ23歳の若造が自分より遥かに年上の手練れたちを常に相手にして政を進めているのですがら、当然かもしれませんね。士官学校時代は若干チャラついていた喋り方も、グッと落ち着いた口調に。好奇心旺盛な少年から壮大な野望を抱く青年への成長を、豊永利行さんが見事に演じ分けてくださっています。本当に素晴らしくて感激しました。

 クリア特典でクロードはターバンを頭に巻くことができるようになります。それがめちゃくちゃカッコいいんですが、その姿は出自バレバレで皆からのツッコミ待ちな感じ。別にいいのか、1回クリアした後だから。

 

ヒルダ=ヴァレンティン=ゴネリル(声:桑原由気)

ピンク色の長い髪の毛と短いスカート。可愛いもの、きれいなものが大好きなヒルダ。彼女の個人スキルは「おねだり」。よく面倒ごとを誰かに頼んで自分の代わりにやってもらっていますが、頼んだ相手が手間取っていると思わず手伝ってしまうなど人の良さも見られ、同性から嫌われるようなイヤな女の子の感じでは全然ありません。わがままというよりは、甘え上手という印象。家族にとにかく可愛がられて育ったんだろうなぁとしみじみ思います。

口では「面倒臭いなぁ」などと文句を言いつ、斧をぶん回して敵をなぎ倒しまくってくれる、心底頼りになるヒルダ。後方支援に回してほしいと直談判してきますが、とにかく強いので当然ガンガン前線に出てもらっていました。彼女は斧が得意なので、強くなるほどに「可愛い」からは遠ざかっていってしまうんですよね。ゴメンよ。

クロードには侍従はいませんが、ヒルダが彼の右腕のポジション。上下関係ではなく、ヒルダがひと肌脱いであげているような雰囲気です。

よく話題に上るヒルダのお兄様のホルストは、武勲により名を馳せる同盟きっての武将。お顔を見られないのが残念です。

 

ローレンツ=ヘルマン=グロスタール(声:渡辺紘)

気取った喋り方と独特な髪型が非常に特徴的なローレンツ。こちらが思う貴族のテンプレみたいな言動をする、見ていて面白い人。胸に真っ赤な薔薇をつけ、自分にふさわしい伴侶を探すべく女性に声をかけまくって主人公に注意されるなど、いい味出しています。

グロスタール家はリーガン家に次ぐ有力貴族。対抗意識が高い親の影響もあってかことごとく反りが合わない模様で、ローレンツ自身もクロードを監視することが「趣味」です。

「貴族だから」とやたら口にするので、嫌な感じだな〜と思っていましたが、喋っている内容を聞いていると、「貴族として領民から尊敬されるに値する人間にならねば」と自分を律しているのが徐々にわかってきます。グロスタール家の嫡男としての自覚ってやつですね。意外といい人です。典型的な誤解されやすいタイプなんですね。

第2部では髪を伸ばし、紫色の鎧で登場(もちろん胸には真っ赤な薔薇)。もしかしてローレンツって美形なんじゃないの⁉︎ とザワザワしました。髪型って大事。

 

リシテア=フォン=コーデリア(声:悠木碧)

天才的な魔道の才能を持ちながら、さらなる研鑽を惜しまない努力家のリシテア。プライドがとても高く、子供扱いされることを非常に嫌っています。

自分にも他人にも厳しく、物怖じせず自分の意見を述べるきっちりした性格。とはいえ、お化けが苦手だったり食べ物の好き嫌いが多かったりと可愛らしい面もあってモダモダしちゃいます。ギャップってホント良いですよね。

かつてコーデリア家は、帝国から離脱して同盟に参画しようとしたフリュム家を支援しましたが、その内乱は失敗。その結果、フリュム家は没落して帝国の「七貴族」から外され、支援をしたコーデリア家は帝国からの干渉を受けて苦しめられることになりました。そんな過去のため、リシテアは帝国の動きに他の生徒より敏感に反応しています。

士官学校の時点ではまだ15歳だというのに、とても生き急いでいるように感じられるリシテア。彼女が背伸びした態度を取るのも時間を惜しんで努力するのも、残された時間が長くはないからなのです。自分の運命に立ち向かう、とても健気な子です。

リシテアが短命である理由は、彼女の持つ紋章にあります。その鍵は、彼女の美しい銀髪です。

 

マリアンヌ=フォン=エドマンド(声:秦佐和子)

やり手の論客として知られるエドマンド辺境伯の養女のマリアンヌ。そんな養父とは対照的に、彼女は度がすぎるほどの超ネガティブ思考。自分と関われば不幸になってしまうからと言って人と接するのを避けています。それも全ては彼女の紋章の謂れのせい。忌み嫌われる紋章であると、マリアンヌは頑なに何の紋章を持っているのかすら明かそうとはしません。

声を聞いた者は少ないとまで言われるほどのマリアンヌですが、ベルナデッタのように部屋に閉じこもるわけでもなく、祈りを捧げるため大聖堂に行ったり馬の世話で厩舎に行ったりと外にいますし、会話をすれば自分の主張は曲げないですし、実はそこまで内気な人じゃない気が。遠縁のエドマンド辺境伯が紋章のことを知っていて彼女を養女にしたのは、そのしっかりとした内面の強さに期待してのことかもしれないなと思います。

人嫌いではありますが動物とは心開いて話せるようで、ドルテという名の馬の世話をしたり小鳥たちと戯れている時は、彼女の穏やかな様子が見られます。

マリアンヌは表情がとにかく暗くて、せっかくの美人が台無し。しかし士官学校で過ごすうちに、少しずつ自分に自信を持てるようになった彼女は、第2部で前髪を短くして表情を見せており、物静かながら優しげな微笑みのしっとりとした女性となっています。

 

イグナーツ=ヴィクター(声:矢野奨吾)

丸眼鏡を掛けたイグナーツは商家生まれで、親が同業のラファエルとは幼なじみです。次男である彼は家業を継げないため、親に騎士になるようにと勧められて士官学校に入学。親の期待に応えようと真面目に学んではいますが、彼には本当は別にやりたいことがある様子です。

絵を描くのが好きで、戦いよりもその戦場の風景の美しさに関心を持ってしまう場面も。美しい女神に憧れる心優しき穏やかな性格の少年です。とはいえ、私は彼をアサシンに仕立てて、バッサバッサと敵を倒してもらっていました。

大人しく控えめな彼ですが、第2部では少しキリッとした顔つきに。ずいぶん凝ったお洒落なコスチュームを着ていて、平民とはいえ裕福な家の坊ちゃんなんだな〜と感じます。

 

ラファエル=キルステン(声:大泊貴揮)

筋肉隆々な彼の体格に合うサイズが無かったのか、制服がピチピチで今にもボタンが弾け飛びそうなラファエル。外見で一番パンチ力のあるキャラクターです。筋肉を鍛えることと食べ物にしか関心が無く、ラファエルと会話をすると結局その話題ばかりになってしまいます。

とはいえ彼はケンカ好きな人では全くなく、むしろおっとりしていて、自分が強くなってみんなを守るぞというスタンス。見た目そのままの細かいことにはこだわらない性格で、そのおおらかさはもはや「聖人」級です。

実家は商家ですが両親はすでに亡くなっていて、彼が士官学校に入学した目的は騎士になって妹のマーヤを養うため。妹を大事にしている、優しいお兄ちゃんなのです。

本人は温厚な性格なんですが、そのたくましすぎる体格からグラップラーなど拳で敵を倒していく野性味あふれる兵種のコスチュームがハマりすぎるほどハマります。

 

レオニー=ピネッリ(声:野川さくら)

傭兵になることを目指し、村に借金をして士官学校に入学してきたレオニー。基本的に貴族の子息子女を対象にしているからか、士官学校に入るためには相当なお金が必要らしいですね。

子供の頃に村を脅かしていた密猟者を主人公の父であるジェラルトが見事退治してくれたことから、レオニーは彼を「師匠」と呼んで慕っており、ジェラルトの一番弟子と自称しています。そのためジェラルトの子どもである主人公にも負けたくないと対抗意識を持っている様子。

本人の性格と入学の経緯から、節約に励むかなりのしっかり者。猟師の娘ということもあって、レオニーは狩猟や釣りなどアウトドア系が得意で、セテスに釣りを教えてあげたりもしています。

サッパリした性格で、士官学校の時は髪の毛も短くボーイッシュな雰囲気でしたが、第2部では髪を伸ばして大人びた表情になり、確実に女っぷりが上がってます。

 

金鹿の学級の人間関係

レスター諸侯同盟は君主を戴かず、五大諸侯による円卓会議の議決によって治められています。有力な諸侯たちにはそれぞれ立場があり、ただ仲良くしていられるわけではないため、簡単に一致団結とはいかないようです。それをうまくまとめるのが盟主の手腕ということになります。

そんなお国柄もあってか、金鹿の生徒たちは平民出身の生徒も多いのですが、それぞれに身分などの違いがあるのを前提として、この学級で一緒になったんだから貴族も平民も関係なく仲間だろ、といった感じ。同盟全体が、他の国に比べると身分制度に対して緩やかな雰囲気なのかもと思わせます。クロードには固定の侍従がいないのも、同盟という国の成り立ちによるものなのでしょう。

クロードは年上の人に好かれるタイプなのか、彼を取り巻く年長者であるダフネル家当主のジュディットや家宰のナルデールたちからは、随分と気に入られている様子。彼らはなんだか楽しそうに戦闘に協力してくれます。青獅子の年長者であるロドリグやギュスタヴたちがディミトリのことを常に心配そうに見ているのとは、かなり対照的です。

 

印象深い支援会話

私が級友同士で特に印象に感じた組み合わせは、クロードとローレンツ、そしてラファエルとイグナーツの2組です。

 

クロードとローレンツ

クロードに何かと突っかかっていくローレンツ。鷹揚に構えたクロードにうまくあしらわれてしまう小物感が、ちょっと残念な感じです。もしもクロードが現れなければ、リーガン家に次ぐ有力貴族であるグロスタール家が盟主となっていたかもしれないという背景を思うと、彼のトゲのある態度も仕方ないのかなぁと。

クロードが次期盟主として相応しい人間なのかと怪しみ、彼の資質を試すように同盟の状況についてどう思うかと度々見解を求めてくるローレンツ。一見すると軽薄そうにも見えるクロードですが同盟の情報をしっかりと把握しており、ローレンツはその度に論破されてしまいます。

クロードはいちいち絡んでくるローレンツを初めのうちは面倒くさい奴だと言っていましたが、彼が同盟全体のことを常に真剣に考えていることを理解するようになり、盟主を譲ろうかと提案さえします。

一方でローレンツも「盟主は志だけでは務まらない」と、自分ではなくクロードこそが盟主の器を持つ人物だと評価するように。ローレンツは客観的に自分も人も見極めることのできる人なんですよね。

最初のうちは全く波長の合わない2人でしたが、戦いが進んでいくにつれて、互いの力を認め合い信頼関係が深まっていったんだなぁと、彼らの支援会話に胸が熱くなります。

ちなみにクロードは呼び戻されて嫡子に据えられたというのに盟主という地位にあまりにも執着がありませんが、これは彼の出自を知ると納得します。

 

ラファエルとイグナーツ

ラファエルとイグナーツは幼なじみ。士官学校の同じ学級で学ぶ仲間として久しぶりに再会したものの、ラファエルに対してどこかよそよそしいイグナーツ。子供の頃はもっと仲が良かったのにと、ラファエルはとても残念そうにしています。

ラファエルの両親はイグナーツの両親が断った仕事を請け、その仕事に向かう途中で亡くなってしまいました。そのためにラファエルが苦労をしていたことも知っているイグナーツは、彼に負い目を感じて以前のようには親しくなれずにいたのです。

しかしそんなイグナーツに対し、申し訳ないと思うなら昔みたいに仲良くして欲しいとラファエルが言うんですよ。くぅ〜‼︎ 良い話だ‼︎

実はラファエルの両親の死の背景には、リーガン家とグロスタール家の政治的なぶつかり合いみたいなものも絡んでいたりして、非常にキナ臭いんですよね。ローレンツの親父さん怖いなーと、なんだか同盟の嫌な部分を見ちゃった気がしてしまうんですが、それでも親世代は親世代のことであって自分たちには関係ない、とラファエルがキッパリ言い切ってくれて、スッキリします。ありがとう、ラファエル。

 

次回はユーリス率いる灰狼の学級の生徒とセイロス聖教会・騎士団の人々について語っていきたいと思います。

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