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BL『Hate My MIA!』について語りたい

人鳥ぺんぎん先生の商業BL『Hate My MIA!』という作品をご存知でしょうか。見てくださいよ、この表紙に描かれたMIAの褐色肌のツヤ! 絶対に心地よい弾力を持っていると確信できる胸! 大好物です! ありがとうございます! ということで、私はこの『Hate My MIA!』の表紙を見て一目惚れして速攻ポチったんです。

だって本の表紙って大事ですよ。試し読みが出来れば中身をしっかり吟味しますが、それでも作品に最初に興味を持つきっかけとなるのは、やっぱりその表紙なんですから。

でもこの作品、当然ですが良いのは表紙だけではありません。高校の元同級生で今は隣の席で働く大嫌いな会社の同僚の「裏アカ」を偶然知ってしまったことから始まるこの物語。今回はこの『Hate My MIA!』について語りたいと思います。

性描写がある作品なので、未成年の方はごめんなさい。大人の方だけこの先をお読みくださいね。

ネタバレが含まれるので、ネタバレダメという方は注意してお読みください。

 

サイコーな裏アカ

Web制作会社の新入社員である舞沢浩司。彼は高校の元同級生で、今は隣の席で働く会社の同僚となった宮明人がとにかく大嫌い。この2人、実に対照的なんですよね。

黒髪であっさりした目鼻立ちのモブ顔にクセのある思考、デザインすればどうしてもアダルトサイトっぽくなりクライアントからクレームが入ってしまう舞沢。

一方の宮は、褐色の肌に派手な金髪、容姿スタイル共に恵まれ、会社では女性社員からも声をかけられることが多くてチャラついた印象ながら、舞沢のおかしなデザインの修正を任されたりするなど人間関係も仕事もパーフェクト。

しかしそんな宮にも実は「誰にも言えない秘密」があったんです。それは裏アカの存在。宮はMIAという名で、下着や裸で際どいポーズを取っている自撮り画像を上げているのです。チャラいのに仕事ができて、しかもエロいとは! 最強ですね。

大学の友人経由で偶然MIAの存在を知った舞沢。気に食わない宮の弱みを握っているという優越感に浸りながら裏アカの閲覧を続けていたというのに、いつの間にか舞沢はすっかりMIAに夢中に。新しい画像がアップされるのを心待ちにするようになっただけでなく、タロイモというハンドルネームで「抜けました」などと、なんともド直球なコメントをMIAに送りつけるまでになってしまったんです。

宮自身はまったくそんなつもりはないのでしょうが、舞沢からすれば自分とは真逆なチャラついた陽キャの印象がある宮はいちいち癇に障る存在。しかも高校の時に付き合っていた彼女が宮に惚れてしまい別れることになったのですから、舞沢が彼にムカつくのは仕方ないかな〜とも思います。宮の方は元同級生だということもあって、屈託なく舞沢を食事や合コンに誘ったりしてくるのですが、舞沢の方では会社の同僚としても自分からは宮とあまり積極的には関わりたがりません。

AV業界で働く舞沢の友人にスカウトしようと思わせるほど、裏アカでエロティックな姿を見せている宮。ホント、宮はいい身体してるんですよ。筋肉が美しいんですよね。ガッチリ鍛えられた筋肉じゃなくて、触れたら気持ちよさそうだな〜と思うような筋肉なんです。もうそれだけでも眼福だというのに、その表情には恥じらいも感じられて煽られまくり。MIAとしてアップしている画像が実にエロ可愛いんです。普段ムカつくこと極まりないからこそ、なおさら宮とMIAとのこのギャップに舞沢はヤられてしまったんじゃないかと思うんですよね。

せっせと送っていたメッセージのやりとりから、タロイモが自分であるということを宮に知られてしまった舞沢。高校の元同級生で今は同僚の舞沢が、キモいおっさん(推定50代)のようなメッセージを自分に送ってきていたことを知った宮ですが、気持ち悪がるどころかタロイモからのメッセージがうれしかったと打ち明け、トロンとした可愛い表情に。

 

俺ずっと
タロイモさんの欲しかったんだから…っ

 

宮からのお誘いに食い気味に乗っかり、ちゃっかりハメ撮りまでする舞沢(後でしっかり見返してもいる)。そこまでしておきながら2人は恋人やセフレにはならず、かと言って気まずくなることもありません。相変わらず舞沢は宮にはイラつきつつ、MIAの更新を心待ちにするんです。

 

画面越しだとあんなに可愛いのに…
どういう作用でこうなるんだ この男は…

 

欲望には忠実なくせに、宮はあくまでもムカつくヤリチン野郎でありMIAは愛くるしく癒しをくれる存在だという認識を頑として変えようとはしない舞沢。このややこしい認識から、舞沢がしなくてもいい余計な葛藤をすることで物語はこじれて面白くなっているんです。

 

宮とMIA

整った容姿で身長も高く(185センチ)、ジムに通ってしっかり筋肉質の体型を維持している宮。舞沢からは一方的に疎まれていますが、性格は非常に明るく常に朗らかですし、声を掛けてくる女性社員への対応も気さくで手慣れた感じ。しかも自分からボトムも得意だと言って舞沢を誘ってくるなどするあたり、宮はセックスに関してかなりオープンで積極的な印象です。

男女問わず相手に困ったことなど無いんじゃないかと思える宮。そんな彼がなぜ裏アカを立ち上げたのか。舞沢はふと疑問に思いますが、きっと見られて興奮する羞恥プレイ的なものが宮は性癖なのだろうと結論づけて勝手に納得しています。

たしかに宮が裏アカを立ち上げたのは「見られたい」という思いからでした。しかしその思いは、たった1人に向けられているもの。宮が自分を見て欲しいと思いを向けているその相手こそが、舞沢なんです!

宮ならば望めばいくらでも相手を選び放題でしょうし、実際に「遊びの相手」もいた様子の描写もあります。交友関係も広くて出会いも多い彼には、他にいくらでも釣り合う相手がいただろうと思うんですよ。しかしモブ顔だというのにこじれたSっ気ありというかなりクセ強めな思考の持ち主かつキモオタ全開な舞沢に対して、高校の時から何年もずっと変わらず一途な想いを抱き続けているといういじらしさ! こんな舞沢のどこが好きなのかとふと浮かんでくる疑問も恋する宮の可愛さの前には吹っ飛び、むしろ彼の健気さを際立たせさえするんです。

 

宮の想い

なんとも言えない可愛さとエロさを感じさせるMIAの表情に、

 

まるでMIAに恋焦がれてもらってるような気持ちにさせられるんだよなあ…

 

と鼻の下を伸ばしている舞沢。彼はあくまでも宮とMIAは別々の存在であり、意地でも混同するまいと頑張ってきていましたが、MIAと同じ焦がれるような目で宮が自分を見つめていることに気付きます。そのキッカケとなったのは、宮の携帯の待ち受け画面でした。

高校生の時の自分の写真を待ち受けに設定している宮。その写真は宮には他には代えることのできない特別な意味を持つものでした。

実はその写真を撮ったのは舞沢。宮にとってレンズ越しではあっても舞沢に自分だけを見つめてもらった瞬間だったんです。だからこそ、その写真は宮にとって大切なものだったんですね。

レンズ越しに見つめてもらえたその思い出を胸に裏アカを立ち上げ、カメラの向こうで舞沢が自分を見てくれることを妄想しながら自撮りを撮ることで、届かぬ想いを昇華させていた宮。舞沢に向かう気持ちが画面から溢れまくっているんですから、舞沢がMIAを可愛く感じてしまうのは当たり前ですよ。

そのことを問い詰められ、宮は目に涙を溜めてこう言うんです。

 

俺…お前に重がられて嫌われるかもしれないんだけど…?

 

軽いノリで舞沢とセックスしていたように見えていた宮。セックスはするものの付かず離れずを保ち、宮は舞沢をお手頃なセフレとして扱い面白がっているようにさえ見えます。しかし彼は舞沢に自身の想いを悟られてしまわないように振る舞っていたんですよ。なんて不器用な子! 可愛すぎます。

自分に対する宮の一途な想いを知った舞沢。見事に胸を射抜かれた彼は、堪らず宮をお持ち帰りするわけですが、お互いの気持ちを確かめ合ってもワチャワチャしたまま、すんなりとは納まらないのがこの2人の良いところ。いつまででも舞沢と宮の関係を見守っていたくなるんです。

 

物語は続く

この作品、続編が既に始まっています。宮と付き合うことになった舞沢。しかし宮が恋人となったというのに、相変わらず彼にとってMIAは別物。心の拠り所としているMIAのアカウントに上げる写真を撮りにくればいいと宮に言われ「推しとの距離が近すぎる」と苦悩するなど、全くブレない舞沢に思わずニヤニヤしてしまいます。これから舞沢と宮の2人の関係がどう進展していくのか、また彼らの過去などが深掘りされるのか今からとても楽しみです。続編が単行本となったら思う存分語りたいと思っています。

 

前回はイイモ先生の商業BL『パーフェクトプラネット』について語っています。興味を持って頂けた方は、こちらからどうぞ。

isanamaru.hatenablog.com